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1996 年度 研究成果報告書概要

パミール高原宇宙線実験による超高エネルギーハドロン相互作用

研究課題

研究課題/領域番号 06045056
研究種目

国際学術研究

配分区分補助金
応募区分大学協力
研究機関早稲田大学

研究代表者

長谷川 俊一  早稲田大学, 理工学総合研究センター, 教授 (10063398)

研究分担者 KOPENKIN V.  モスコー大学, 原子核研究所, 助手
SVESHNIKOVA エル  モスコー大学, 原子核研究所, 助教授
MANAGADZE A.  モスコー大学, 原子核研究所, 助教授
ROGANOVA T.  モスコー大学, 原子核研究所, 教授
RAKOBOLSKAYA アイ  モスコー大学, 原子核研究所, 教授
ZATSEPIN G.T  モスコー大学, 理学部, 教授
大場 一郎  早稲田大学, 理工学部, 教授 (10063695)
並木 美喜雄  早稲田大学, 理工学部, 名誉教授 (80063288)
藤本 陽一  早稲田大学, 理工学総合研究センター, 名誉教授 (20063290)
研究期間 (年度) 1994 – 1996
キーワードウチュウセン / エマルション・チェンバー / ウチュウセンファミリー / ハドロンアテニュエーション / センタウロゾク / パミール
研究概要

1993年にモスコ-大学の共同研究のグループからパミール高原(4200米)に露出した厚型鉛チャンバー(60cm厚)の共同解析の提案があって本研究はスタートした。それまで我々の続けて来たチャカルタヤ及びパミールにおける宇宙線超高エネルギー現象の研究は大面積の炭素層をはさんだ2段型エマルションチェンバーによるものが主流であったが、物質中の高エネルギーハドロンによるシャワーの遷移の振舞いを完全に捉えるためには、均一物質中の研究が是非とも必要であると痛感していたところであった。共同解析の提案の後、2度にわたって10平方米単位の合計5チェンバーが、きびしい情勢の中でモスコ-大学の努力によって早稲田大学に送られてきた。全体をあわせて〜3000平方米におよぶロシア製のX-線フィルムで、宇宙線総露出量は57平方米年にあたる。
その後、この鉛厚型チェンバーに捉えられた宇宙線現象の検出、測定を続けて来たが、ほぼ完了した。現在までに得られた宇宙線現象の全統計は次のようである。
観測エネルギー100TeVを超える宇宙線ファミリーは57事例、ファミリー中に含まれる4TeVを超えるエネルギーのハドロン300筒、単独飛来の4TeVを超えるハドロン(シングル ハドロンと呼ぶ)4623事例、シングルガンマ線3097事例に達した。60cm厚の鉛物質中でのハドロン検出効率は90%を超える事がわかっており、上記の大統計によって、ファミリー頻度、宇宙線ハドロンのエネルギースペクトルなどが満足の行く統計ではかられた。これらの量は一次宇宙線が大気中に入射し、相互作用を繰り返す宇宙線ファミリーの大気中伝播を考える際の基礎となる量であり、加速器のエネルギー領域で知られているハドロン相互作用の特性がはたして宇宙線の高いエネルギー領域まで成り立っているかどうか、新しい相互作用の特性が現れるかどうかについて重要な知識を与える。
加速器エネルギー領域の実験データをよく再現する粒子多重発生のいくつかの模型を採用し、宇宙線エネルギー領域に外挿したシミュレーション計算を行ったが、そのいずれの模型も宇宙線の実験結果を説明出来ない事がわかった。ファミリー及びシングルハドロンともにその頻度は期待されるより有意に小さく、大気中での減衰が大きい事を示しており、相互作用の性質が変化していると考えざるを得ない事が明らかとなった。
この鉛厚型チェンバー … もっと見る の特質は、60cm厚の均一物質から成り立つ手いることであり、高エネルギーハドロンの鉛中での相互作用をシャワー曲線の遷移を見る事によって完全に観測する事が可能である。このために、鉛物質中での高エネルギーハドロンの減衰を充分によい精度で測定が可能であり、4-50TeVのシングルハドロンについての観測結果はλ(attnuation)=217【+-】38g/cm^2とほぼ幾何学的断面積で減衰している事が明らかとなり、これはこれまでの実験とたいへんよい一致を見た。一方、モスコ-大学で測定された観測エネルギー700TeVを超える17事例の超高エネルギーの宇宙線ファミリーに含まれる143筒の高エネルギーハドロン(E_h(γ)>10TeV)の減衰はこの値より有意に小さく、λ(attenuation)=170【+-】35g/cm^2を与えている。この結果を見ると、10^<16>eVを超える超高エネルギーのハドロン相互作用で発生するハドロンが既知のハドロンであるのか、それとも新しい型の粒子であるのかたいへんに興味をひくところとなっている。
更に、観測エネルギー100TeV領域の高エネルギーハドロンの中には特異な鉛物質中の遷移曲線をもつ事例が数例発見された。それらの事例は、チェンバー入射直後にシャワーを発生し、ほとんど減衰しない遷移曲線をもってチェンバーを貫通している。加速器エネルギー領域の相互作用をもとにした多数のシミュレーション計算の事例にはそのような極端のものは見いだされず、このことも、超高エネルギー宇宙線相互作用から発生する粒子群の中には、これまでに既知の粒子ではない新しい型の粒子が含まれている事を示唆している可能性が強いと考えられる。
この問題をめぐって、60cm[1λ(geo)]の炭素層を2段含むチェンバーの建設が行われ、2年間の露出の後モスコ-大学で現像処理されたX-線フィルムが1996年春早稲田大学に送られて来て、現在測定、解析を行っている。鉛及び炭素と異なった物質層での観測は問題を明らかにすると思われ、その結果が待たれる。
これまでのチャカルタヤ及びパミールにおける共同研究の実験データを含めて、〜10^<15>-10^<16>eVにおいてスペクトルのベキの変化する、いわゆる"knee"領域における一次宇宙線の化学組成についてのファミリーデータの解析からの結論は、観測されるファミリーの88【+-】15%は陽子或はα粒子の衝突によるものと結論される。シミュレーション計算を用いて、大気頂上に入射する一次宇宙線の化学組成についての議論が可能であって、その結果は、気球飛揚のチェンバーによって直接観測で10^<11>-10^<12>eVの領域ではかられている標準的な化学組成から大きく変化しておらず、knee領域においても陽子及びα粒子はあわせて〜60%を占め、重い原子核成分が急激に増えるという説は否定される事が示された。
ここに述べた主たる結論は現在モスコ-大学の共同研究者との検討中で、3篇の論文の発表が用意されている。 隠す

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] S.Hasegawa and M.Tamada: "A study on hadron interactions through Observation of casmio-ray families of visible energy greater than 500 TeV in high mountain omulein dambers" Nuclear Physics B. 474. 1441-182 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] V.Kopenkin and Y.Fujimoto: "Atlenuation mean free path of hadrons in superfamilis" Il Nusava Aimento. 19C. 60-68 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] Y.Fujimoto et al Chacaltaya and Pamir Collaboration.: "Cosmic-Ray gamma-ary and Hadron families of seved with thick lead chambers at Pamir." Nuclear Physics B. (予定).

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [文献書誌] S.Hasegawa and M.Tamada: "A study on hadron interactions trough obsorvation of coomio-rays families of visible energy greater than 500 TeV in high mountain emulsion chambers" Nuclear Physics B. 474. 141-182 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] V.Kopenkin and Y.Fujimoto: "Attenuation mean free path of hadrons in superfamilies" Il Nuova Cimento. 19C. 60-68 (1996)

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より
  • [文献書誌] In preparation: "Y.Fujimoto et al : Chacaltaya and Pamir Collaloration" Cosmic-Ray gamma-ray and hadron families observed with thick lead chambers at Pamir.Nuclear Physics B.

    • 説明
      「研究成果報告書概要(欧文)」より

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公開日: 1999-03-09  

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