研究課題
初年度は、日本とインドネシアにおける会計と開示をめぐる制度的枠組みの比較研究のため、平松がインドネシアを訪問する一方、インドネシアから研究分担者2名が日本を訪問して共同研究を行った。その内容は以下のとおりである。まず、インドネシアでは、会計を規制している大蔵省・資本市場監督機関(BAPEPAM)、ジャカルタ証券取引所、会計士養成機関(STAN)などの公的機関を訪問し、説明を受けると共に、資料を入手した。また、会計事務所で監査実務の実態と日本との相違を学んだ。さらに、日系企業とりわけ証券会社や銀行で、企業進出の問題点について意見交換を行った。インドネシアの会計は、1995年1月から改訂され、国際会計基準を受け入れて新基準となっていた。そのため、まだ最近の英文資料ができておらず、新たにインドネシア語から日本語への翻訳の必要性が生じている。また、ジャカルタの大学で教員および一般聴衆を対象に、サービス貿易の自由化に伴う会計の将来について講演し、かつ自由討論の機会をもつことができた。こういった機会は相互理解にとって有益であると考えられる。次に日本への訪問では、日本公認会計士協会、東京証券取引所、監査法人、インドネシア進出企業、税理士事務所などを訪問した。特にインドネシア駐在経験者との面会で、日本とインドネシアとの相違がかなり明白になった。今後は、さらに入手した資料により分析を進めるとともに現地の実務担当者との面会を通じて、実態の解明と比較研究を行いたいと考えている。