輸送システム用新機能材料の創製・評価に関する研究

1996 年度 研究成果報告書概要

• 研究課題/領域番号: 06045062
• 研究種目: 国際学術研究
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 大学協力
• 研究機関: 鈴鹿工業高等専門学校
• 研究代表者: 戸田 成一 鈴鹿工業高等専門学校, 校長 (90227596)
• 研究分担者: HEMAMI H. オハイオ州立大学, 機械工学科, 教授 ; FRASER H.L. オハイオ州立大学, 材料工学科, 教授 ; ZHENG Y.F. オハイオ州立大学, 電気工学科, 教授 ; NAKAMURA S. オハイオ州立大学, 機械工学科, 教授 ; CHALMERS J.J オハイオ州立大学, 化学工学科, 助教授 ; FAN L.S. オハイオ州立大学, 化学工学科, 教授 ; CRUZ Jose B. オハイオ州立大学, 工学部, 学部長 ; 藤松 孝裕 鈴鹿工業高等専門学校, 機械工学科, 助手 (50238606) ; 中村 雅司 鈴鹿工業高等専門学校, 電子工学科, 助手 (70249803) ; 小林 達正 鈴鹿工業高等専門学校, 電器工学科, 助教授 (10225518) ; 岩田 政司 鈴鹿工業高等専門学校, 工業化学科, 助教授 (10151747) ; 船戸 康幸 鈴鹿工業高等専門学校, 電子情報工学科, 教授 (10005358) ; 岡田 修 鈴鹿工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (40043301)
• 研究期間 (年度): 1994 – 1996
• キーワード: 気液混相流動 / ポロン系化合物 / プラズマスパッタ / 傾斜複合材料 / 湿式成形 / 金属間化合物 / 単結晶 / 多重解像度法 / immersion liquid method

研究概要

国際学術研究・大学間協力研究の第二次計画として、「輸送システム用新機能材料の創製・評価に関する研究」のテーマの下に、オハイオ州立大学との国際学術研究が友好的かつ成功裏に実施・完了した。各テーマ別では以下のような成果が得られた。
1、「気液混相流動機器の効率向上・性能改善」においては高j_G域の環状噴霧流では、じょう乱波とは明らかに異なって気流中に多量の微小液滴(ミスト)を伴い、液膜の波形がリップルに類似しているミスト波の存在を見いだした。浮遊液滴な主な生成はじょう乱波の崩壊に基づいており、この点に着目して、本報では電気抵抗法に基づく液膜厚さの出力波形と高速度ビデオ撮影による観察の双方からじょう乱波の発生ならびに崩壊する過程を検討・考察した。その結果、じょう乱波には管軸に対して環状の波が垂直に形成される二次元的なじゅう乱波DW_1と、管軸に対して垂直でなく歪んだ形となる三次元的じょう乱波DW_2種類の形態があること、気体体積流束の増加に伴い、DW_1はDW_2に変化し、さらに気体体積流束が増加するとDW_2は気流によりせん断されて弓状波BWを経てミスト波MWに移行することが確認された。
2、「スバッタコーティングポロン薄膜の特性」においては、ポロン系化合物(LaB_6、BN等)を金属壁、ガラス壁にスバッタコーティングするためのプラズマ応用物理の解明とその技術の確立、更に、生成ポロン系薄膜の物性評価、真空特性、プラズマ諸量との相関の基礎実験を目的とした。
本実験研究では、プラズマスパッタ装置におけるポロンコーティングを、ポロン化合物ターゲットであるLaB_6を用いて行いプラズマパラメータの測定およびXPSによる生成薄膜の評価も実施した。その結果ポロン系化合物によるスパッタコーティングはプラズマを利用するスパッタ装置における酸素不純物制御に有効であることが分かった。
3、「傾斜複合材料の湿式成形技術の開」においてはスラリー組成を連続的に変化させつつ2成分系の濾過を行い、平板上の厚肉の傾斜組成材料の成形体を作製する濾過式充填法を提案した。
空隙率分布を連続的に制御した多孔体の作製については粒径を小さくし沈降速度を低下させるよりも、漆過速度を増大させるような方策が効果的であることが示唆れた。
湿式濾過による2成分系材料成形体の構造制御についてはフロック密度関数が理論的に導けることを示し、フラクタル次元Dが3-1/nと等しいことを明らかにした。また、濾過充填した成形体の圧密変形挙動は成形時に内部のフラクタる性に応じて大きな空隙から順次つぶされていくことを明らかにした。
4、「金属間化合物の単結晶育成」においては高純度グラファイトるつぼを使用したBridgman法(炉温降下法)により、単結晶化を行い育成結晶のミクロ的組織および組成の評価から、FeTi金属間化合物単結晶の成長機構について検討した。本研究では、Fe-57.5at%Ti〜Fe-62.5at%Tiの狭い範囲においてのみ単結晶が得られた。育成後の結晶表面には1mm程度のTiC層が形成されており、他の組成より育成した結晶の評価結果から結晶成長時の融液組成はFe-50at%Ti近傍であったと考えられる。このことから、FeTiにおいては、従来いわれているのとは異なり、ほぼ化学両論組成の融液から包晶反応を経ない非平衡の凝固により直接単結晶が成長したとの結論を得た。
5、「センサ内部回路の設計・評価」に関しては第一にパターン認識に関するコンピュータシミュレーションを行った。特に位置、大きさ及び回転等の変化に依存しないパターンの認識について動作を確認した。
第二に車載用視覚補助システムの実現に向け交通標識を検知・認識するシステムの開発及び検証を行った。カメラより入力された実画像をコントラスト処理及び色強度比処理を行う。その後多重解増像度法により対象物の位置検出を行った後標識内の文字認識を実行するステップである。多重解像度法を採用することによって計算時間の短縮が可能になりリアルタイムに近い処理が可能になった。

研究成果

• [文献書誌] O.Okada,T.Fujimatsu,H.Fujita,K.Honma: "Some Problems on Droplet Size Measurement by Immersion Liquid Method" Proceedings of the 6th International Conference on Liquid Atomization and Spray Systems. 406-413 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 沢田善秋,景山芳輝,岩田政司: "Fe(CO)_5の気相熱分解による鉄超微粒子の作製と磁気特性制御" 化学工学論文集. 20(3). 367-372 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] M.Mushiaki,Y.Kubota,Y.Funato,A.Miyahara,Y.Sakuma: "Measurements of Tritiated Water by Microwave Spectroscopy for the Monitoring of Dischage Cleaning" Jpn.J.Appl.Phys.34. 3278-3279 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 国枝義彦,岡部純一,村上和美,井上哲雄,兼松秀行,小林達正,江崎尚和,南部智憲: "Ni粉成形多孔体の焼結挙動へのカプセルフリーNIPおよび真空雰囲気の影響" 粉体および粉末冶金. 43(1). 122-127 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] T.Fujimatsu,O.Okada,H.Fujita: "Sizing Study of Droplets in an Annular Mist Flow Immersion Liquid Method" Proceedings of the ASME Heat Transfer and Fluids Engineering Divisions. 589-594 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] M.Iwata: "Deformation Characteristics of Packed Hydrogels under Mechani-cal Pressure" Proceedings of the 4th Korea-Japan Symp. 777-780 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] 岩田政司: "化学工学の進歩 28 流体・粒子系分離(化学工学会編),第5章圧搾・脱液,68-84" 槇書店, 228 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] M.Iwata: "Electric Field Applications in Chromatography,Industrial and Chemical Processes,Chapter 7 Electroosmotic Dewatering,133-151" VCH (Germany), 311 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(和文)」より
• [文献書誌] O.Okada, T.Fujimatsu, H.Fujita, K.Honma: "Some Problems on Droplet Size Measurement by lmmersion Liquid Method" Proceedings of the 6th International Conference on Liquid Atomization and Spray Systems. 406-413 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Y.Sawada, Y.Kageyama, M.Iwata, S.Harada, A.Tasaki: "Preparation and Control of Magnetic Properties of Ultrafine Iron Particles by Pyrolysis of Fe (CO) _5" J.Soc.Mat.Sci., Japan. 43 (495). 1609-1614 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] M.Mushiaki, Y.Kubota, Y.Funato, A.Miyahara, Y.Sakuma: "Measurements of Tritiated Water by Microwave Spectroscopy for the Monitoring of Dischage Cleaning" Jpn.J.Appl.Phys.34. 3278-3279 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] Y.Kunieda, J.Okabe, K.Murakami, T.Inoue, H.Kanematsu, T.Kobayashi, H.Ezaki, T.Nanbu: "Effect of Surrounding Pressures under Gapusle-Free HIP and Vacuum on Sintering Behaviors of Porous Ni Pressed Powder" Journal of the Japan Society of Powder and Powder Metallurgy. 43 (1). 122-127 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] T.Fujimatsu, O.Okada, H.Fujita: "Sizing Study of Droplets in an Annular Mist Flow by Immersion Liquid Method" Proceedings of the ASME Heat Transfer and Fluids Engineering Divisions. 589-594 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] M.Iwata: "Deformation Characteristics of Packed Hydrogels under Mechani-cal Pressure" Proceedings of the 4th Korea-Japan Symp. 777-780 (1996)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] M.Iwata: Maki-shoten. Progress in Chemical Engineering 28, Solid-Fluid Separation (ed.by Soc.Chem.Eng.), Chap.5 Expression and Deliquoring, 68-84 (1994)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より
• [文献書誌] M.Iwata: VCH (Germany). Electric Field Applications in Chromatography, Industrial and Chemical Processes, Chapter 7 Electroosmotic Dewatering, 133-151 (1995)
  • 説明: 「研究成果報告書概要(欧文)」より