研究分担者 |
武田 定 群馬大学, 工学部, 助教授 (00155011)
森 和亮 神奈川大学, 理学部, 教授 (60029709)
岡村 高明 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90252569)
中野 雅由 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80252568)
山口 兆 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80029537)
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研究概要 |
新しい有機金属共役系として様々なM′-M-M-M′型の直線状多重結合系錯体(M′=Pd,Pt;M=Cr,Mo)を系統的に合成した。これらのうち、Mo_2Pd_2四核錯体の三次の非線形光学定数χ^<(3)>を測定すると1.2×10^9(esu)であり、有機系で最も大きいχ^<(3)>をもつポリジアセチレンと同程度の大きな非線形光学特性を示した。 遷移金属(Zr,Ru)が共役ポリエンに結合した錯体を合成し、シクロペンタジエニル(Cp)基を有するジルコニウムのs-トランス-ジエンおよびトリエン錯体が顕著なサーモクロミズムを示すことが見いだされた。低温固体NMRにより、これがCp環のトンネル回転に起因することを明らかにした。 有機金属共役系の結合様式の理論化学的解明のため,Cr(II)およびMo(II)の2核錯体の結合軸方向に遷移金属がさらに2つ結合した4核錯体について可能な結合様式をとりあげ、ab initio法により,解析した.磁気的性質に関しては,有効交換積分J値の算出を行い,可能な磁性相について検討した.d-d共役系では,non dynamical電子相関を考慮したUNO CAS CI,CASSCFで精度の良い計算が行えることが判明したが,d-p共役系ではさらにdynamical子電相関が必要なことが示唆された. 窒素、酸素、メタンなどの気体を大量に吸蔵する細孔を持ったジカルボン酸Cu(II)を多数合成した。同様の細孔を持つMo(II),Ru(II,III)の化合物の合成にも成功した。Mo(II)の化合物には僅かながら電気伝導性があり、-Mo≡Mo-Mo≡Mo-一次元鎖の存在の可能性を示した。 NH…S、NH…O水素結合共役系と金属イオンを複合化させ、水素結合-遷移金属共役系を構築した。水素結合は化学的性質にだけでなく、磁気的相互作用の制御を行なうなど物性面にも十分に寄与のあることを示した。
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