研究課題/領域番号 |
06205210
|
研究機関 | 独協医科大学 |
研究代表者 |
斎藤 望 獨協医科大学, 医学部, 教授 (30049126)
|
研究分担者 |
宇野 宏幸 獨協医科大学, 医学部, 助手 (20211774)
前川 正夫 獨協医科大学, 医学部, 講師 (50103312)
|
キーワード | 歌学習 / キンカ鳥 / 発声中枢 / 音声認識 / 大脳 / 生得的 / 種特異性 / 個体認識 |
研究概要 |
キンカ鳥の雛は歌学習期にはその種に特異的な歌を好んで認識して学習する。更に成鳥は同種他個体の歌を認識する能力があることが明らかにされている。このことから、キンカ鳥には2つのタイプの歌認識機構(生得的に備わっているものと学習により獲得されるもの)が存在すると考えられる。大脳発声中枢IMANは歌学習(歌モデルの取込と自身の歌の成立)に不可欠であるので、2つの歌認識機構を担うニューロンが存在することが予想される。 これらを明らかにするため、学習した雄と学習を阻害した雌において、IMANニューロンの聴覚応答特性を調べた。音刺激としてキンカ鳥に特徴的な歌要素を使用した。この要素は定周波数部(CF)とそれに続く周波数変調部(FM)とから構成される。これに人工的操作を加えて、CF-FMの時間構成とCFの周波数構成を変化させて、刺激音として用いた。 学習した雄では3種類の特異性応答-時間構成特異性と2つの周波数構成特異性(タイプAとB)-が存在した。周波数構成特異性タイプAは特定の周波数構成に応答するが、他の構成には応答しない。一方、タイプBは複数の周波数構成に応答する。ところが、学習阻害雄では周波数構成特異性タイプBだけが存在し、他の二つのタイプは見つからなかった。 この結果から、時間構成特異性と周波数構成特異性タイプAは学習によって形成されて、学習された歌の認識に関与すると考えられる。一方、周波数構成特異性タイプBは生得的に備わっていて、歌学習期の雛が種特異的な歌を認識するのに関与するとともに、歌学習によってタイプAに変化すると考えられる。 このようなIMANの聴覚知覚が個体としての聴認識に関与していることを明らかにするために、オペラント学習実験を行った。その結果、IMANの周波数構成特異性タイプAとBの弁別過程によって聴認識されることがわかった。
|