琉球をめぐる日本・南海の地域間交流史

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 06208103
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 濱下 武志 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (90126368)
• 研究分担者: 黨 武彦 専修大学, 法学部, 講師 (80251388) ; 五野井 隆史 東京大学, 史料編纂所, 教授 (70013282) ; 紙屋 敦之 早稲田大学, 文学部, 教授 (00194978) ; 村井 章介 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (30092349) ; 荒野 泰典 立教大学, 文学部, 教授 (50111571)
• キーワード: 琉球 / 沖縄 / 南海 / 地域間交流 / 歴史情報 / 中国 / データベース

研究概要

琉球三山統一以前から幕末維新期までの時期の琉球-日本交流史および琉球-南海交流史を、環束シナ海の地域間交流の一環として再評価するという研究目的のもと、各研究分担者の専攻分野に鑑み、琉球-日本グループと日本-南海グループに分かれ、研究活動を継続してきたが、平成9年度は本研究の最終年度であり、これまでの課題の共通認識ならびに課題についての研究史整理の上にたち、現在までに蓄積された研究成果を共同研究者の共通のものとし、併せて、それらをデータベース化し、公開する作業を行った。その成果は、松井洋子、荒野泰典が総括班研究会で発表をした他、班全体としての報告書『琉球をめぐる日本・南海の地域間交流史』(1998年3月発行)において明らかにした。全体を通して言えることは琉球をめぐる日本・南海の地域間交流史が極めて多様な言語資料、また極めて多種の資料形式によって成り立っているということである。そして、それら一つ一つの資料について分析を深めていくという課題と同時に、資料相互間を共通な視点でながめながら研究を進めるという新たな課題が開拓されていることが認識される。情報処理のプロセスについては、一つの基礎過程を試みたといえるが、今後この歴史情報をどのように活用し、かつそれによる新たな研究成果をどのように評価していくかという次の課題にむかって検討をさらに進めていく必要があると考えている。

研究成果

• [文献書誌] 村井章介: "鉄炮伝来再考" 東方学会創立五十周年記念東方学論集. 1107-1127 (1997)
• [文献書誌] 村井章介: "日本の資料整理事業と韓国関係資料" 国史学論争. 73. (1997)
• [文献書誌] 村井章介: "倭寇の多民族性をめぐって-国家と地域の視点から-" 中世後期における東アジアの国際関係. 29-66 (1997)
• [文献書誌] 村井章介: "中世国家の境界と琉王・蝦夷" 境界の日本史. (1997)
• [文献書誌] 紙屋敦之: "大君外交の海外情報ルート" 近世日本の海外情報. (1997)
• [文献書誌] 菅谷成子: "スペインのフィリピン支配" 事典東南アジア-風土・生態・環境. 478-479 (1997)
• [文献書誌] 菅谷成子: "マニラの出現と拡大" 事典東南アジア-風土・生態・環境. 484-485 (1997)
• [文献書誌] 弘末雅士: "トババタック" 事典東南アジア-風土・生態・環境. 458-459 (1997)
• [文献書誌] 弘末雅士: "東南アジア島嶼部における港市とエスニシティ" 立命館言語文化研究. 9-1. (1997)
• [文献書誌] 黨 武彦: "乾隆初期における銅銭流通の地域差について(下)" 専修大学人文科学研究所月報. 178. 1-16 (1997)
• [文献書誌] 黨 武彦: "清朝の地方文書行政システム" 専修法学論集. 72. 121-184 (1998)
• [文献書誌] 黨 武彦: "文書行政システムの中の琉球と中国" 琉球をめぐる日本・南海の地域間交流史. (1998)
• [文献書誌] 五野井隆史: "イエスズ会資料と琉球" 琉球をめぐる日本・南海の地域間交流史. 101-120 (1998)
• [文献書誌] 荒野泰典: "世界図の かの琉球" 琉球をめぐる日本・南海の地域間交流史. 67-85 (1998)
• [文献書誌] 松井洋子: "17世紀オランダ東インド会社文書に見るLequeoの情報について" 琉球をめぐる日本・南海の地域間交流史. 121-128 (1998)
• [文献書誌] 浅見雅一: "十六〜十八世紀 中国に来着したカトリック宣教師の一覧表" 琉球をめぐる日本・南海の地域間交流史. 129-154 (1998)
• [文献書誌] 濱下 武志: "朝貢システムと近代アジア" 岩波書店, 232 (1997)