今年度は、勝連グスク跡出土の貿易陶磁器資料の集成を計画し、所期の目的に到達した勝連グスク跡出土の貿易陶磁器は、質、量ともに沖縄県出土品の最上位に位置づけられるものであり、かつ琉球政府以来、発掘調査が他のグスクと比較してよく行われている。したがって、本研究の目的を適う遺跡であったが、出土陶磁器のうち、1960年代の発掘品など、すでに所在場所が数度の移動により、混乱しているものが多く、報告書に登載されているものもその行方が判らなくなっていた。幸い、沖縄県教育委員会、勝連町教育委員会、沖縄県立博物館などの関係諸機関の本研究にたいする理解と強力が得られ、延べ27日間にわたり出土品の調査をおこない、所期の目的に到達できた。 沖縄県の調査方法は、勝連グスクの6回にわたる調査報告書に登載されている貿易陶磁器の全てについて、写真撮影におこない、報告書と照合する作業であり、主要なものについては実測をおこなった。その結果の概要は以下のとおりである。 (1)1983年:勝連グスク跡本丸南側城壁調査出土陶磁器(勝連町教育委員会保管) カラースライド31枚、実測破片数50点 (2)1984年度:勝連グスク跡南貝塚/二の丸地点出土陶磁器(勝連町教育委員会保管) カラースライド64枚、実測破片数127点 (3)1983年:ジョージ・H・ケア採集資料(沖縄県立博物館保管) カラースライド57枚、実測破片数87点 (4)その他勝連グスク跡採集資料(沖縄県立博物館保管)
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