研究概要 |
高令者に多く発生する大腿骨頚部骨折の発生期を予知することは同骨折の回避・予防に役立つ。本骨折は老化による骨代謝活性能の低下や骨粗鬆症に寄因する骨強度の低下が原因する一種の病的骨折である。このように骨の体積密度が低下すると骨梁単位あたりに負担する荷重が正常値より大きくなり発生する微小損傷の割合が増加し、巨視的確断に至る。本研究はMinerのDamage蓄積理論を骨に適応するために、疲労寿命推定のための数学モデルdD/dt=dD/dt-dR/dtを作成した。Rは骨の修復能,Dは機械的に蓄積されるDamage量である。両パラメータをラット腔骨の繰返し力学刺激を行うことで測定した。Rはテトラサイクリン2重標試法によって測定した。これらの結果から、骨の疲労寿命を求めると、繰返し負荷周波数によっては破断しない領域がいずれの荷重振幅においても存在し、その荷重環境の内で使用するならば骨折は回避できることが解った。今後は、患者個々の生活活動性と本研究で明らかになった骨折荷重の関係をどのように評価,対応していくかが課題である。
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