Ni-Al系金属間化合物の完全緻密体を作製する場合、溶解法を用いるよりも、粉末治金法の一種である熱間押出やHIPなどの加圧焼結法を用いる方が、価格的に有利と言われている。しかし、無加圧焼結法によって完全緻密体が得られるならば、製造工程の大幅な簡略化や複雑形状部品の作製が可能となり、価格的にはさらに有利になると思われる。著者は、既に無加圧焼結法によりNi_3Al完全緻密体を得ているが、今回は、上記の研究課題を達成するための第一段階として溶製のNi_3Alについて常温延性を発現させる効果が有るホウ素(B)を添加したNi_3Al(73.5〜76at%Niの組成)について、無加圧固相焼結法によって完全緻密体を得る条件ならびにその組織と機械的性質を調べ、以下の諸結果を得た。(1)Bを添加した場合でも完全緻密焼結体が得られること、かつ、完全緻密化に必要な最低の焼結温度(Ts)は、Bを添加した場合野方が、液相出現温度が低くなることに対応して約25K低くなった。そして曲げ強さは、いずれのB添加量でもTsの上昇と共に大となったが、同一のTsの下での曲げ強さはB添加により最大0.9GPa(約70%)向上した。(2)Ni_3Alの結晶粒度は、B添加により増大し、増大の程度は、Tsが高くなるほど著しくなった。(3)張力面近傍の破面観察によると、B添加の有無にかかわらず一般に粒界での脆性破壊であったが、特に76at%Ni組成では0.05、0.10%Bを添加した場合は、粒内破壊と塑性変形の痕跡も認められた。(4)以上の結果によると、粒子分散型のNi_3Al金属間化合物を無加圧焼結によって作製する場合は、Bを添加することによって容易になると思われた。
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