研究課題/領域番号 |
06216103
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山藤 馨 九州大学, 工学部, 教授 (90037721)
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研究分担者 |
倪 宝栄 福岡工業大学, 工学部, 講師 (10248536)
藤吉 孝則 熊本大学, 工学部, 助手 (80212190)
木須 隆暢 九州大学, 工学部, 助手 (00221911)
岩熊 成卓 九州大学, 工学部, 助手 (30176531)
船木 和夫 九州大学, 工学部, 助教授 (60091352)
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キーワード | 高温超伝導体 / 量子化磁束格子 / スケーリング / 相転移 / 磁界電流密度 / カイネティックインダクタンス / 磁場侵入長 / 磁束ピン止め |
研究概要 |
1.酸化物高温超伝導体におけるピン止めされた量子化磁束の次元性 酸化物高温超伝導体のピン止めされた量子化磁束の相関距離について解析的に調べた。その結果、ある臨界磁場以上では量子化磁束は2次元的な傾向を示すが,ピン止めによって有限の相関距離l_<44>^<eff>=(B_<c2>^2b^2/μ_0α_S)^<1/2>が残る事が明らかとなった.ただし、B_<c2>は上部臨界磁場、bはB_<c2>で規格化した外部磁場、α_SはLabuschピンパラメーター、μ_0は真空の透磁率である。この相関距離は等方的な従来の超伝導体における量子化磁束の相関距離と等しい.従って,ピン止めされた量子化磁束はこの相関のために3次元的に振る舞うことが予測される.これは酸化物高温超伝導体の高磁界下の使用に対して各層のピン止めは必要ではなく,従来通りのピン止め中心が有効に働くことを意味している. 2.電流-電圧特性のスケーリングとピン分布 ピンの統計分布を考慮することによって、従来の磁束クリープ、磁束フローの理論を用いて、相転移を仮定することなく電流-電圧特性のスケーリングを定量的に再現できることを示した。本結果からスケーリングは必ずしも磁束溶融を仮定しなくても説明できる。すなわち、観測電界領域が磁束フロー領域から磁束クリープ領域に移り変わるという機構で説明できる。この試みは従来からなされていたが、従来の理論で定量的一致が得られなかったのは、ピン分布の取り扱いが確立されておらず、ピン分布に起因する磁束フローの非線形性をすべて磁束クリープによって記述しようとしたためである。本方法を用いることで、電流-電圧特性の温度、磁場依存性を定量的記述する事が可能となる。
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