これまで層状複合酸化物の層間を反応場として利用することによって光触媒の効率が飛躍的に上がることを見出してきたが、層間に架橋酸化物を作ること(層間架橋)による層間距離の増加と層空間の増大を試み、シリカによる層間架橋ではより層間を有効に利用できることがわかった。しかしニオブ系層状ペロブスカイト型複合物は層電密度が高くシリカ以外の層間修飾が困難であり、水の全分解、さらには不活性分子の活性化は達成できなかった。そこで、ニオブ系層状ペロブスカイト型複合酸化物の層電荷密度を変化させた複合酸化物K_<1-x>La_xCa_<2-x>Nb_3O_<10>(O【less than or equal】x<1)を調製し、更に新たな層間修飾を試みてそれぞれの光触媒活性について検討した。 ニオブ系層状ペロブスカイト型複合酸化物K_<1-x>La_xCa_<2-x>Nb_3O_<10>(O【less than or equal】x<1)は、Ca_<2+>をLa_<3+>で置換することにより層電荷密度を抑制できる。この層間電子密度を変化させた複合酸化物を用いてシリカによる層間架橋を試み、水の分解の光触媒能を調べたが、光触媒能はどれも架橋前と大きな変化はなかった。そこで架橋酸化物に、水の分解に対して有効なチタニアを用いることを検討した。チタニアによる層間架橋は、ホストとなる層状酸化物の電荷密度が高いためこれまでに報告がない。ここで層電荷密度を低下された前記の層状ペロブスカイト型複合酸化物を用いれば、チタニア層間架橋体が調製できるものと期待して検討を行った。層間架橋体の前駆体としてオクチルアンモニウムイオン交換体を用いてチタンのゾル溶液にてイオン交換を行うことによってチタニア層間架橋体を得た。この時得られた層間架橋体の層間距離は2.35nmとなり、また、チタニア層間架橋体の光触媒活性は白金0.1wt%担持でメタノール水溶液から水素を22000μmol・h-1で生成した。架橋酸化物をチタニアに変えることでシリカ架橋体よりも高い活性を有することがわかった。この活性の著しい増加はチタニア架橋も光触媒活性を有するためと思われる。これらの結果から層及び層間架橋ともに水の分解に関与する光触媒を初めて合成し、不活性小分子の活性化に用いられる可能性がある。
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