1。座標つきコンパクト=リーマン面とその上の局所自明化つき直線束の組のモジュライ空間をFとする。(種数および束の次数は固定しておく。)マニンらの観察によって、Fには円周上の高々1階の複素解析的微分作用素のリー代数(これをDとかく)が無限小的に等質作用している。本年度えられた主な結果は、フロベニウス相互律の型の仮設の下で、空間FのD同変(p、q)コホモロジーが、p>qのとき消滅するというものである。リーマン面の安定コホモロジーとの関係で重要なのは、同変(p、p)コホモロジーである。(1、1)コホモロジーは、アルバレロらによって、3次元あることが、既に知られている。今年度分かったのは、それらが、我々の枠組の中での「ファイバー積分」によって表されることと、(2、2)コホモロジーが、10次元あり、うち4次元が分解不能であることである。(p、p)コホモロジーの完全な決定およびそられの幾何的意味の解明は、次年度をまちたい。なお、実際の計算は、開リーマン面上の高々1階の微分作用素の全体のリー代数のコホモロジー、つまり、一種のゲルファント=フックス=コホモロジーを扱っている。 2。超楕円対合と可換な写像類の全体のつくる種数gの写像類群の部分群を種数g超楕円的写像類群とよぶ。gが2のときは、知られているように、写像類群全体に一致する。超楕円的写像類群のmodpホモロジー群は、F.R.コーエンらによって決定されている。今年度私は、彼等の結果の非常に簡単な(部分的)別証をあたえた。計算の困難さは、この群が、ねじれ元を含むことにあり、(コーエンらも含め)従来、レベルをつけることによって、それを回避しようとしてきたが、それでは充分でなく、結局、代数トポロジーの高度の技法を必要としていた。私は、1。にならい、ベクトルつき超楕円曲線のモジュライ空間を考えることにより、計算を著しく初等的にすることができた。実際、ギュシン完全列と、マイヤー=ヴィエトリス完全列だけを使って、p>gの場合の超楕円的写像類群のmod pコホモロジーの別計算を与えることができた。
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