2次元イジング模型においては、相転移とパーコレーションは密接に関連している。臨界点近傍および直上でのパーコレーション問題を考えることにより、イジング模型の相転移の研究に貢献することが目的である。 本研究では臨界点近傍のパーコーションをまず考えることとして、第一の結果として次を得た。 (1)温度が臨界温度よりも高いとき、外部磁場の値がパーコレーション臨界値よりも小さいならば、原点を含むプラススピンの連結成分のサイズの分布は指数的に減少するtailをもつ。 これは、温度が臨界温度以上のときイジング模型がもつ強い混合性に起因する。上の結果は高次元にも拡張できるが、そのためには条件として原点を含むプラススピンの連結成分のサイズの期待値が有限であることを追加する必要がある。この結果は現在preprintとしてまとめている。 臨界点以下における温度では、混合性についても知られておらず、まず、混合性を調べる為に、2点相関関数の評価を行い次の結果を得た。 (2)温度にかかわらず、任意の境界条件の相関関数は、磁場の向きに境界上のスピンを並べた境界条件の相関関数よりも大きい。 この結果は九州大学の確率論セミナーで口頭発表をしているが、まだ関連して考えるべき問題を多く含んでおり、まとめて論文の形で発表する時期には至っていない。
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