研究概要 |
多変数合流型超幾何関数については、隣接関係式のより一般的状況のもとでの導出および有理ド・ラームコホモロジー群の良い基底の発見などがあった。しかし予期に反して、今年度の研究では、パンルヴェの微分方程式に関する研究の進展が著しかった。 6個のパンルヴェの微分方程式が、それぞれ多項式型の正準方程式に同値であること、それぞれに対して、すべての解をもれなく捉えられるファイバー空間が構成できることが知られている。本課題研究においては、このファイバー空間の記述とその特徴付けの研究で、記すべき成果があった。 例えば、第6パンルヴェ方程式に対する空間は6個のC^2×(C-{0,1})をある簡単な有理正準変換で貼り合わせたものである。変換はx=a(t)+Y(b-XY),y=1/Yというようなものである。第5パンルヴェ方程式に対する空間は5個のC^2×(C-{0})を貼り合わせるが、その変換には上のタイプのものの他、x=1+X,y=-c(t)/X^2+d/X+Yというものも現われる。第5は第6の退化したものだからである。 次にこれらの空間の上に、バンルヴェ以外の多項式型正準方程式が定義されるだろうかということを調べ、第6の空間の上には第6パンルヴェ系以外には無いことを確かめた。他の空間についても同様と予想される。 以上の研究において、購入したワークステーション端末機が、大変大きな役割を果たした。
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