代表的な電極反応において、断続レーザー光照射による電極の温度変化の影響を検討した。Ar^+レーザー(スペクトラフィジックス社、162D、波長488nm、10mW)を照射レーザーとして用いた実験において、Fe^<3+>+e^-【double arrow】Fe^<2+>などの標準エントロピー変化が正である電極反応では、レーザー光照射によって酸化反応は抑制され、還元反応は促進された。逆に、[Fe(CN)_6]^<3->+e^-【double arrow】[Fe(CN)_6]^<4->などの標準エントロピー変化が負である電極反応では、酸化反応が促進され、還元反応が抑制された。このことは、標準エントロピー変化が正の場合、標準電極電位が温度上昇にとともに正電位側に移動すること、負の場合、負電位側に移動することから説明することができた。この考え方と吸着を伴う電極反応がベル型の電流-電位曲線を示すことを基にして、白金電極での水素原子吸着反応Pt+H^++e^-→Pt-Hの標準エントロピーが正であることを予想した。さらに、レーザー照射による電極の温度上昇は物質移動の促進を介して電極反応を促進することやその影響が電極反応の可逆性によって異なるも確かめることができた。設備備品として購入したQスイッチYAGレーザー(カンテル社、ブリリアント、波長1064nm、350mJ/パルス、5ns、20Hz)からのレーザーパルス照射による金電極のアブレ-ジョンを観察した。一晩、放置した溶液は赤紫色(吸収極大波長、530nm)を呈し、溶液中に金コロイドが生成したことを確認した。生成したコロイドの分析や生成の電位依存性などさらに詳しく検討している。
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