有機金属錯体触媒の特徴の一つは配位子の設計により分子レベルで触媒活性、特異性の制御が可能なことである。本研究では、第4族遷移金属錯体の重合活性に着目し、まず錯体構造と反応活性・特異性相関を詳しく検討し、高活性・高立体規則性重合反応機能を有するメタロセン錯体の創製を目指した。特に、これらメチルアルモキサンが結合したメチレン架橋型チタノセン錯体3を初めて単離することに成功した。また、錯体3はスチレンの立体規則性重合(シンジオタクチック)に対して高い活性と98%以上の立体選択性を示した。さらにこれら錯体とスチレンとの反応から単離された双極イオン型チタノセン錯体4は、構造化学的にも今までに類例がなく、しかも単独でスチレンの重合反応に対して最も高い重合活性と100%の立体選択性を示すことが分かった。さらに、エチレンの重合反応においては、錯体4は従来のZiegler触媒(TiCl_3/AlEt_3系)よりも10^2〜10^3倍以上の重合活性を有し、均一系錯体触媒としては記録的な反応活性を示した。 また、本研究では世界に先駆けてイオン分離型有機チタノセン錯体5の合成単離に成功し、しかも錯体5は単独でエチレン、スチレンに対して爆発的な重合活性を有することを見出した。
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