研究概要 |
1)ヘキサクロロ白金(IV)酸を水/エタノールに溶かし,500W超高圧水銀灯で可視を照射すると,白金イオンが還元され,白金クラスター分散液が生じる。この分散液中の白金クラスターは何ら保護安定化されていないので不安定で,しばらく置くと沈でんが生じる。そこで光照射で裸の白金クラスターが生成直後に,トリフェニルホスフィンやo-フェナントロリンを添加すると,これらの配位子が配位して白金クラスター錯体となる。照射時間により1〜3nmの白金クラスター錯体を合成することができる。 2)このようにして合成した白金クラスター錯体を,反応触媒として用いて,その活性を比較した。種々のオレフィンの水素化触媒として用いたところ,トリフェニルホスフィン配位錯体よりもo-フェナントロリン配位錯体の方が活性が高かった。これは、トリフェニルホスフィンに触媒の被毒作用があるためと考えられる。白金クラスター錯体は,さらに,ルテニウム錯体を光増感剤とする可視光誘起水素発生反応の触媒としても活性であった。 3)白金の場合と同様の方法で塩化ロジウム(III)からロジウムクラスター錯体を合成した。1-ヘキセンの水素化反応触媒に用いたところ,トリフェニルホスフィン配位錯体は高活性であったのに,o-フエナントロリン配位錯体はほとんど活性を示さなかった。白金の場合と逆の配位子効果が認められたことは,クラスターの構造と関連して興味深い。
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