本研究では振電相互作用の影響が回転スペクトルの上に興味深い姿で現れることで知られるCCOラジカルを取り上げ、その電子遷移スペクトルを測定・解析することにより電子励起A^3Π_i状態のエネルギーレベル構造を詳しく調べている。昨年度(平成5年度)はA^3Π_i(010)-X^3Σ^-(000)バンドおよびA^3Π_i(010)-X^3Σ^-(010)バンドの測定と詳しい解析を行い、A^3Π_i(010)状態の精密な分子定数を決定し、また、A^3Π_i(010)状態での摂動の様子を明らかにした。本年度(平成6年度)は、外部共振器型の近赤外ダイオードレーザーシステムを新たに導入して、これを高分解能分光測定を効率よく行ってゆけるように整備したうえで、引き続きCCOラジカルの電子遷移スペクトルの研究に取り組んだ。CCOのA^3Π_i状態での振電相互作用に関するさらに詳しい情報を得ることを目指して、両者間に振電摂動が存在すると考えられる二つのバンド、A^3Π_i(020)-X^3Σ(000)バンドおよびA^3Π_i(001)-X^3Σ(000)バンドの測定・解析に取りかかり、現在、スペクトルの帰属・解析をすすめているところである。
|