前年度からの(1)F/Si系単原子層研究と、更に(2)C_4F_8/H_2を用いたICP(誘導結合プラズマ)で得られるSiO_2/Siの高選択比の起源をCF_x(x=1-3)ラジカル測定による研究を行った。 (1)RAS(反射吸収分光)とXPS(X線光電子分光)の結合システムを作製し、X_eF_2から生じたフッ素(F)ラジカルと水素終端Si(111)表面との常温での反応をin-situ測定した。Fラジカル暴露量と共にSi-Hは5000Lまで減少して飽和し、逆に5000Lから急にSi-F_1結合が形成され、25000Lまで変らない。それ以上ではSiF_x(x=1-3)結合が急激に形成される。この終端水素が無くなって始めてフッ化それる現象を、Si-H(2083cm^<-1>)をATR(減衰全反射)で調べたところ、F暴露と共にSi-Hの高波数側に、FがSiの格子間に入った為に生じたと考えられる新たなSi-H伸縮が現われ、水素がSiFHとしてエッチングされて除去されたと推察した。 (2)ラジカル測定はAMS(出現電圧質量分析法)を用いた。水素濃度、RF電力、圧力の各変化から、CF_1ラジカルがCF_2よりも一桁多い生成が判った。この重合膜形成への役割を調べるため、AMSの先端に石英管のキャピラリを設け、その長さを変えてラジカルの濃度変化を調べた。その結果、C_4F_8のみの場合は、長さが長くなると共にCF_1が急激に減少するが、CFP_2は変化が無く、CF_1が重合膜の先駆体と考えた。水素を30%添加すると、CF_1濃度の長さに対する減衰度はC_4F_8のみと比べて大幅に緩和され、CF_1ラジカルは水素の存在下では壁による損失が低下すると推察した。また、流量効果を、(1)SiO_2とSiのエッチング速度及び選択比、(2)CF_1、CF_2ラジカル濃度とCF_1/CF_2比、(3)キャピラリ板を用いたホール底の重合膜の厚さとXPS測定のC/F比の各エッチング、気相、表面の3状態を比較した。その結果、CF_1/CF_2が最大になるときに、底面には薄いが炭素リッチな重合膜が形成され、更にSiO_2のエッチング速度が最大になることが判明した。
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