研究課題
標的から二電子捕獲した後の低速多価イオンの二重励起状態(三重項状態)の同定および散乱イオン測定系の準備、低速多価イオン実験ビームラインの整備をおこなった。1.60 keV O^<6+> + O_4Ne衝突により生成したO^<4+**>(1s^23131′)の三重項状態からのAuger電子のピークの同定を行い論文として報告した(J.Phys.B27(1994)L785、NIM B(1995)in press)。O_2標的を用いた場合は一重項と三重項状態が生成されるために、ヘリウム標的を用いた場合(一重項状態のみ生成される)と比較をして同定を行った。この結果との比較から、Ne標的を用いた場合にはほとんど一重項状態からのピークが見えず、三重項状態が選択的に生成されていることが確かめられた。2.新設された理研 14.5GHz ECRIS(Caprice)のビームラインに散乱イオン測定装置(静電デフレクター+二次元イオン検出器)を取付けた。散乱イオン測定系の動作試験として、低速多価イオンビーム(アルゴン、炭素、酸素イオン)を窒素分子標的と衝突させ価電変換断面積を求めた。得られた断面積は実験誤差の範囲で他のグループの報告と一致しており、散乱イオン測定系は正常に動作していることが確認された。3.本研究費で本年度購入した真空ポンプを新設のECRISビームラインに取付け、分析電磁石周辺で1x10^<-8>Torr程度の真空度が得られ、低速多価イオンの輸送系として十分な真空度となった。この状態で、80keVアルゴンイオン(8価)が400マイクロアンペア-程度得られた。
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