現在開発が進められている256メガビットDRAM(dynamic random access memory)では、その素子寸法がサブクォーターミクロンにまで至っている。このような高集積化-微細化は、材料面では複数材料の複合化によって、またデザイン面では立体多層構造化によって達成されている。LISのAl配線が製造工程や実機試験中の加熱によって断線したり、またその内部にボイドを生じる現象はストレスマイグレーションと呼ばれており、LSIの信頼性を向上させる上で大きな問題となっている。ストレスマイグレーションの主因は配線中に結晶粒界が存在することにある。従って、ストレスマイグレーションを抑制するためには、配線を単結晶化することが有効となる。この方法に関しては、溝を形成した絶縁膜上にAlを成膜して連続的に真空熱処理することで、溝にのみ単結晶Al配線を埋め込むことができる。 本研究においては、透過形電子顕微鏡(電顕)によるその場観察法を用いて、こうした単結晶細線の形成過程について調べた結果、微小断面をもつ溝の中で溶融したAlは、凝固時には大幅な過冷却状態にあり、結晶成長速度が凝固核の生成速度に比べて著しく速いために、一部で凝固核生成が起こると同時に溝全体が固化、単結晶化することが明らかになった。
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