銀河円盤領域に存在するDiffuse X-ray Emissionが強度の弱い多くの点源の集まりであるのか、それとも真に拡がった輻射であるのかを観測的に明らかにするために、「あすか」衛星を用いて銀河円盤領域の撮像観測を行った。この観測中にQuiescent stateからFlare stateに移行したTransient X-ray sourceを発見した。スペクトルの特徴はX線パルサーであることを示唆するが、今回の観測ではパルス周期は検出できなかった。また、隣接する領域でも比較的明るい2点源を検出した。これらの3点源以外には強度が0.006count/s程度の暗い点源が数個程度検出されたのみで、検出できた点源の強度では視野全体の強度(0.2-0.3count/s)を説明することは難しいことが分かった。一方、ガスの物理状態を調べるために行ったX線スペクトルの解析から鉄ラインのエネルギー、強度が電離平衡状態にある宇宙組成の高温ガスから期待されるよりも低いことが分かった。これはガスが電離非平衡状態にあることを示唆する。また、「あすか」の観測からは低温の別成分の存在も考えられる。 輝線を含めたX線スペクトルの類似性、銀河系内の分布から銀河系内高温ガスの起源として考えられる超新星残骸、星形成領域を観測し、X線スペクトルの比較も行った。「てんま」「ぎんが」「あすか」衛星による観測から、いずれのスペクトルも数千万度の高温ガスからの輻射とて説明できることが分かってきた。一方、輝線の強度、エネルギーに注目すると、星形成領域の場合には輝線が弱く元素組成が宇宙組成以下の電離平衡状態にあるガスからの輻射として表現できるのに対し、超新星残骸の場合は連続成分の温度に対して輝線が強く、未だ電離平衡に達していないガスからの輻射と解釈できる。輝線の特徴から判断すると、星形成領域を銀河系内高温ガスの起源として考えることは難しいことが分かった。
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