研究概要 |
単独のヘリウム星の形成には、漸近巨星段階でのヘリウム燃焼殻で起こる熱パルス時の元素合成と混合および星の表面からの急速な質量放出が重要な働きをすることが期待されている。そのような効果を考慮した星の進化モデルを計算するコードを開発しつつある。最も困難な点は、静水平衡が仮定されている比較的内側の部分と、急速な質量放出に際し超音速でガスが流れている表面付近とをどのように接続するかである。表面付近の構造を切り離して、その底での物理量を表化し、内部の構造に対する外部境界条件として使用する方向でコードの開発を進めている。 白色矮星となる直前の段階にあるヘリウム星では、ヘリウム燃焼によって合成された炭素、酸素などが表面に出ていることが観測されている。観測された炭素と酸素の混合比から実験的に不確定性の大きい^<12>C(α,γ)^<16>Oの反応率についての情報が得られる。予備的なモデルの結果との比較から、Gaughlan et al.(1985)の反応率は多少大きめではないかという示唆が得られた。 連星系を構成するヘリウム星が将来Ib型の超新星になるか否かを判定するため、そのグループで最も性質のよく知られている星υSgrについて、観測されている脈動の性質を理論的なモデルと比較することによって、この星の質量が約3太陽質量であることを導出した。これは、この星が進化の最後の段階でIb型の超新星になることを示唆している。
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