研究概要 |
探針を分子や原子に直接アクセスできることから、走査型探針顕微鏡(SPM)は超高密度メモリ素子などの微細加工装置として注目されている。さらに、この微細加工は真空中はもとより、大気中、液中や電解駅中など多様な環境下でも可能である。 導電性高分子は金属並みの高い電導度を有する直鎖状分子として、エレクトロニクス素子の材料として盛んに研究されている。今までに、導電性高分子ポリピロールを高配向グラファイト(HOPG)の基板上に選択的に電解重合できることを示してきた。今年度はポリピロールの重合過程を走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いて直接観測、および、電解液中で探針を対向電極としてポリアニリンの局微小電解重合について研究を行った。 電解液は0.003M LiClO_4/0.01M Pyrrole/propylene carbonate(PC)を約0.1ml用い、参照電極にAg、Pt/Ir(8/2)線を対向電極に用いた。HOPG表面の作用電極電位を0.65V,探針電位0.45V,トンネル電流2nAとして、の重合を行いながら作用電極表面でのポリピロールの重合過程をSTMで観察した。重合は基板表面に一様な薄膜として形成されるのではなく、ポリピロールの核形成がランダムに起こり成長して行くことが分かった。 ポリアニリンの電解重合では、対向電極で水素イオンが還元されて水素ガスを発生するので、探針を対向電極とし局所微細電解重合できる。0.1M HBF_4水溶液にアニリン溶解し、パラフィンでコートした探針、作用電極にITOを用いて、探針先端の形状、および重合時間とポリアニリンの形状について関連性を調べた。その結果、探針先端の曲率半径あるいは裸の先端の大きさが小さい程、重合時間が短い程重合されたポリピロールの粒系が小さくなることが分かった。
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