研究課題/領域番号 |
06237101
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
鎌田 桂子 神戸大学, 理学部, 助手 (20192544)
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研究分担者 |
鎌田 浩毅 工業技術院地質調査所近畿中部地域地質センター, 主任研究官
井口 博夫 神戸大学, 理学部, 助手 (40112073)
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キーワード | マグマ水蒸気爆発 / サージ / 火砕流堆積物 / 上部ドンズルボ-層 / 二上層群 |
研究概要 |
マグマ水蒸気爆発は、サージ堆積物の存在で特徴付けられるが、堆積物の粒度組成や堆積構造のスケールが様々で、ベースサージと呼ばれる細粒な薄層からなるものから、堆積構造がベースサージに比べると一桁大きく火砕流堆積物と見なされるもの(伊藤、1993)まで含む。この理由は、従来、マグマの化学組成の違いによるばかりではなく、マグマと水との接触量の違いによるものと考えられてきた。しかし、噴出源への水の供給が短時間に大きく変化することは考えにくく、マグマの噴出速度の変化によると考えるほうが妥当である。そこで、マグマの噴出速度がマグマ水蒸気爆発においてどのような噴出物の岩相の変化をもたらすかを明らかにするために、地質調査に基づいた噴出物の層序・噴出量比、および熱残留磁化測定による噴出物の堆積温度及び冷却過程を調べることによって、噴出速度と岩相変化の関係を明らかにし、噴出速度の違いがもたらすマグマ水蒸気爆発現象への影響を推定した。その結果、ドンズルボ-火山においては、噴火の初期ではマグマが少量の水と接することによって、やや高温のサージ堆積物を伴ったマグマ水蒸気爆発が火砕流噴火よりも卓越して発生したが、その後、マグマの噴出速度が大きくなるにつれて高温の火砕流の発生が主体となり、サージ噴出の量及び回数は減少することが判明した。従って、マグマ水蒸気爆発の発生条件として、マグマの噴出速度が大きな役割を果たしていることが推定される。
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