伊豆諸島、式根島において野外調査を行った。その結果、式根島溶岩に多数のスパイラクルが発達することを確認した。また、成因不明とされてきた式根島溶岩直上の火砕物は溶岩表面まで到達したスパイラクルから放出されたものであるとの見解に達した。式根島の西半部の海岸線には大浦湾・泊湾・小浜浦などの直径100m程度の湾入部が多数認められる。これらは二次噴火により溶岩表面に開いた火口の痕跡である。火口壁には、massiveな溶岩、溶岩破砕部、火砕岩脈(スパイラクル)が認められる。スパイラクルから放出された火砕物は2種のユニットの互層で、その総層厚は、式根島東半部で最大5m程度に達するが、西部ではほとんど確認できない。これらスパイラクル放出物は、単一の火口から噴出したものではなく、複数の火口から噴出したものが累層したものであることがわかった。二次火口は式根島東部に多数保存されていることから、二次噴火は式根島溶岩が流動するとともに、その先端部で断続的に発生した、と判断できた。 伊豆新島向山火山起源の火山灰を実験試料として、火山ガラスの急冷実験を実施した。急冷実験は東京工業大学無機材料研究室のXeアーク炉双ローラ急冷装置を使用した。実験試料として、空冷・水冷・1000回転・2000回転での試料を作成し、屈折率測定を行った。結果として、高温メルト-水の相互作用が起こる際に、水和層はほとんど形成されていないことが判明した。
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