研究概要 |
化合物半導体のヘテロ構造中の低次元電子ガスは,その低次元電子物性の理解が進むと共にいくつかのデバイス応用が達成された.今日半導体量子サイズ効果の研究は一段落し,今新しいフェーズに入っている.即ち結晶の完全性と純度が向上し,電子が低温においては散乱されずに伝導すること,及び微細加工技術により1nmオーダで制御された半導体超微細構造を作ることが可能となったため,デバイスの端子間に電子の波動としての性質が直接観測されるようになった.このため,従来の物性とは全く異なった新しい現象が次々と発見されている.本重点領域研究では極微細な固体デバイス中の新しい物理現象をより深く理解し,その制御法を探索するとともに,そのような新しい物性を直接応用したデバイスを考案し,その基礎的特性を調べることによって新しいデバイスの可能性を提示し「量子位相エレクトロニクス」と呼ぶことが出来る新しい研究分野を創出することを目的とする. 本総括班の目的は,本重点領域研究が円滑に遂行されるため,研究者間の相互交流,研究討論,情報交換を積極的に推進する役割を担うとともに,常に研究の理念を検討し,全体として正しい方向に進行しているかどうかをチェックすることである.本年度具体的には,以下のような活動を行った. (1)各班の研究進行状態を把握するために,研究会議の運営・開催. (2)各班の研究成果を国際シンポジウムにより広く世の中に公表. (3)公開研究会の記録の出版. (4)英文によるニュースレターの発行(年4回)とプロジェクト紹介のためのパンフレットの作製. (5)電子メール・ネットワークの整備(ワークステーションの導入). (6)新しいナノ構造作成技術の急発展に対応し,その観察と評価のための実験装置の購入と担当班への配置.
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