超伝導・常伝導の複合系でいずれもがメゾスコピックな領域にあるときの両者の位相のかかわりに着目し、 (1)境界での準粒子の透過・反射・アンドレエフ反射等を考慮して、そのような体系のコンダクタンスのふるまいを評価する、 (2)超伝導転移の理論的取り扱い方を考察する、 (3)電子間相互作用の効果を考える、の3点が本研究の目標であった。 本年度の実績は、そのうち第1点についての結果が得られたことである。超伝導体と接触している常伝導体におけるコンダクタンスとその揺らぎには、そのサイズに依存して特徴ある影響が現れる。2次元モデル系の電子透過率を、波動関数を逐次に計算して求めるやり方で数値的に評価し、コンダクタンスの特徴について考察した。 常伝導(N)と超伝導(S)部分のSNSNモザイク構造に対する結果は、超伝導部分の長さが超伝導コヒーレンス長の程度で示すクロスオーバーの特徴を示し、アンドレーフ反射が完全であるか、また超伝導電流への転換が完全であるかが重要であることを示すものであり、これは基本的で重要な知見である。
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