研究課題/領域番号 |
06239107
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山本 雅英 京都大学, 工学研究科, 教授 (40025961)
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研究分担者 |
森島 洋太郎 大阪大学, 理学研究科, 教授 (70028249)
堀江 一之 東京大学, 工学研究科, 教授 (10013690)
宍戸 昌彦 岡山大学, 工学部, 教授 (60026268)
板谷 明 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (80035071)
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キーワード | 高秩序環境場 / 高分子LB膜 / 励起エネルギー移動法 / 表面プラズモン法 / 光誘起電子移動 / 超タンパク質 / 光化学ホールバーニング / 両親媒性高分子電解質 |
研究概要 |
(1)ポリメタクリル酸オクタデシルのLB膜の膜内における三重項励起エネルギー伝達の挙動を燐光測定により検討した結果、三重項エネルギー伝達の起こる約1nmの尺度においても二次元平面とみなせるほどにこのポリマーを用いると発色団位置を制御できること、平均発色団間距離が1.2nm以上のときエキシマー形成部位のないエネルギー移動系を調整できること、を明らかにした。 (2)昨年度に報告した極めて長寿命のイオン種生成の要因を検討するため、PVCZよりバルキーな側鎖を有する高分子について調べ、深いトラップサイトの生成がカチオン形成サイトと吸着剤の極性基との静電的相互作用によることを 認した。また、ポーラスガラス吸着系の電荷再結合速度定数のエネルギーギャップ依存性は、定量的に溶液系と同じであり、媒体の再配合の寄与は小さく、比較的高い分子内振動によりその速度が律せられていることを明らかにした。 (3)ピレニル(Py)基を結合したビオチンを蛋白質アビジンに結合させ、アビジン4量体中の16個のトリプトファンからPy基へのエネルギー移動を調べた結果、エネルギー移動効率はフェルスター理論から予想される値と大体一致し、Py基がビオチンと共にアビジンに結合していることを明らかにした。非天然アミノ酸であるアントリル(An)アラニンをtRNAに担持させ、それを細胞外蛋白質生合成系に導入する手法で、83番目にAn基を導入したストレプトアビジンを作製した。その蛍光励起スペクトルによりトリプトファンからAn基への蛋白質内エネルギー移動が確認され、An基が部位特異的に蛋白質に導入されていることを証明した。 (4)S_1とS_2のエネルギーギャップが比較的大きい亜鉛テトラベンゾポルフィリン誘導体(ZnTTBP)をCHCl_3とともにPMMAにドープした試料を用い、二波長励起により高励起三重項から電子移動反応させることにより、ソ-レ帯にホール形成することに初めて成功した。ソ-レ帯のホール形成は同時にQバンドの非共鳴ホールを形成するが、これらの不均一吸収帯の共鳴周波数は強い相関をもっていることを明らかにした。 (5)前年度に引き続き、両親媒性高分子電解質が水溶液中でつくる極めてコンパクトで硬いユニマ-ミセル中での亜鉛テトラフェニルポルフィリンの特異的な発光挙動を調べて、励起三重項状態が通常の10倍以上も超寿命になり、室温でも強い燐光と遅延蛍光を発することを見い出した。また著しく長寿命化した励起三重項ZnTPPとスルホニウム塩との間で光誘起電荷分離が効果的に起こり、生成したZnTPPカチオンラジカル種は束縛環境場による保護効果により異常に長時間生き残ることを見い出した。
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