研究課題/領域番号 |
06240101
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
橘 和夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (70142081)
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研究分担者 |
安元 健 東北大学, 農学部, 教授 (20011885)
佐藤 清隆 広島大学, 生物生産学部, 教授 (80034479)
岡畑 恵雄 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (80038017)
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キーワード | ナトリウムチャネル / ブレビトキシン / シガトキシン / 水晶発振子 / コンカナバリンA / 脂質二重膜 / ヘキサゴナル相 / 分子認識 |
研究概要 |
異分子の生体膜への結合による膜結合タンパク質の機能変化を調べる目的で、以下の基礎的知見を得た。 ラット脳より調製した膜画分シナプトソームと、トリチウムラベルしたブレビトキシン誘導体を用いる、電位依存性Naチャネルタンパク質の第5結合部位に対する競合的結合親和性実験系を確立した(橘、安元)。鞭毛藻培養株より得られた一連のシガトキシン類縁体に関し結合実験を行った結果、構造異変箇所との相関は明確でなく、分子全体が結合に関わることが示唆された(安元)。シガトキシンの片端であるJKLM環部合成品に関しても弱い結合活性が見られた(橘)。これとは別に、癌化神経芽培養細胞系とテトラゾリウム染色試薬を用いる、Naチャネル特異的な細胞毒性試験系を確立した(橘、安元)。 一方、水-空気界面に作成した脂質単分子膜に水晶発振子を共役させ、単分子膜に水中から結合した物質の量を測定する方法を分子認識に適用した(岡畑)。ここで膜の水側表面にグルコース単位を結合させ、これを水中のレクチン(コンカナバリンA)に認識させたところ、グルコースが水中に突き出るに従い速やかに結合した。またこの結合度は従来知られるコンカナバリンAと遊離のグルコースに比べて遥かに強く、二個以上のグルコース単位による多点認識が示唆された。 脂質二重膜に異分子が結合することによる構造変化を調べる目的でDPPCリポソームにモノ(MOG)およびジオレイル(DOG)グリセロールを混入させ熱分析、電子顕微鏡、X線回折、および赤外吸収により調べた(佐藤)。この結果、DOG各位置異性体ではいずれも二重膜構造に変化が見られなかったのに対し、MOG混合系ではMOGの量および測定温度の上昇に依存して、ヘキサゴナル相と推定される粒状体への転移が観察された。
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