研究課題/領域番号 |
06240105
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
楠本 正一 大阪大学, 理学部, 教授 (30028253)
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研究分担者 |
藤原 剛 奈良大学, 教養部, 教授 (90104679)
中原 義昭 理化学研究所, 研究員 (50087574)
渡辺 裕 愛媛大学, 工学部, 助教授 (40114722)
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キーワード | 超分子 / 複合糖質 / リポ多糖 / イノシトールリン酸 / シアロ糖蛋白質 / 糖鎖抗原 / レセプター / 単クローン抗体 |
研究概要 |
生体内の情報伝達に重要な役割を担う糖質の生物機能は、生体側の分子による精密かつ特異的に構造認識と相互作用の過程を経て発現する。本研究はその過程を超分子の形成として捉え、れを化学の立場で明らかにすることを目指して、本年度は種々の生物活性糖質を対象にして以下の研究を行った。 糖脂質リピドAは細菌の複合糖質リポ多糖の免疫増強作用の活性本体である。リピドAに対するレセプターの存在を明らかにし、作用の機構を解明するために必要な放射性標識体の合成を行った。微量の目的物の合成を可能にするために、精製の容易な誘導体を選び、保護基の組み合わせと縮合方法を検討して目的に適した経路を完成した。生体内のセカンドメッセンジャーとして重要な役割を担っているイノシトール三リン酸(IP_3)の種々のアシル誘導体を合成し、受容体による認識を詳しく調べて分子の構造と相互作用の関係を研究した。またIP_3と強い相互作用を示すホスホリパーゼの活性部位を特定することに成功した。糖蛋白質の糖鎖部分の機能を精密に研究するために、化学合成によって任意の構造の糖ペプチドを合成することが必要であるが、そのためには解決せねばならない問題がまだ多く残っている。それらの問題点について検討を重ね、シアル酸を含むモデル糖鎖を結合したヘプタペプチドを合成することに成功した。効率的な合成を目指して自動ペプチド合成装置の使用も検討した。蛋白質による糖質の認識の代表的な場である糖鎖抗原と抗体について、らい菌の特異抗原フェノール性糖脂質とその単クローン抗原の反応性を精密に解析し、それぞれの抗原が結合する糖鎖構造を明確にした。計算によって推定した糖鎖構造のコンホメーションからこの結合特異性はよく説明できた。
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