研究概要 |
相次いで一次構造が明らかにされているイオンチャンネルの構造と機能を解明する次のステップとして、その立体構造,ならびに機能修飾物質の特異的結合で生成する複合体の超分子構造を明らかにすることを目的に研究を進めているが,本年度得られた知見は下記のようにまとめられる。 1.L型Cのチャンネルに結合してアゴニスト又はアンタゴニスト作用を示す一対のジヒドロピリジン型エナンチオマーの結合部位を同定する化合物として,トリチゥム標識(±)202-791の合成と そのエナンチオマーの単離を検討した。トリチゥム標識に先立って非標識体の合成を行い,その結果よりトリチゥム標識体合成のルートを確立した。またキラル分離用カラムを用いることによって(±)202-791を光学分割する好適な条件を確立した。この成果に基づき,現在トリチゥム標識(±)202-791の合成と両エナンチオマーの単離を進めている。 2.二次元結晶解析に供する高濃度のNaチャンネルタンパク質を迅速に精製する方法として単クローン抗体を用いるイムノアフィニティ法を確立した。また結晶化に要する時間内でタンパク質が失活・変性しない条件を検討し,ほぼ満足できる条件を見い出した。
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