研究概要 |
特異な62員環ラクトンを含むZT-Aの全平面構造と、一部立体化学についてはすでに明らかにしていたが、本年度、ZT-Aで得られた情報をもとにZT-Bの構造解析を行い、ZT-Aの構造をより確かにするとともに、ZT-Bの構造を決定することが出来た。 ZT-BはZT-Aより分子量が42(C_2H_2O)小さい類縁体で、そのNMRから特にエキソメチレンの周辺の構造が異なっていることが推定された。アルカリ加水分解で、まずセコ酸を生成する事からラクトン構造が確認され、さらに加水分解すると、ZT-Aと同一のC_<25>の鎖長を持つ末端カルボン酸を生ずることから、末端部の構造はZT-Aと同一であることが分かった。以上の結果を基に,両者のスペクトルデータを詳細に比較検討することによって、ZT-AからC62=C63のオレフィンが欠落し、3ヵ所にH【tautomer】OHの変換がおきた構造を得た。そこで、過剰量の過ヨウ素酸による分解生成物を再度詳細に調べたところ、C66からC93に相当する化合物(C71-C72は解裂)が得られてきので、この推定構造を確認する事が出来た。また、5個のテトラヒドロピラン環の内4個については、その相対立体配置を合成化学的に証明した。 一方、活性発現に必要な構造因子を明らかにすることを目的として、関連化合物の合成と探索を行った。培養藻体からは、ZT-AならびにZT-Bのセコ酸が得られてきたが、活性を示さなかった。ZT-Bの水素添加は異性体の混合物を与え、ZT-Aをベンジルアミンて処理すると対応するセコ酸のアミド体が得られた。
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