DNA認識モチーフペプチドを種々のゲスト化合物、およびβ-シクロデキストリンで修飾したペプチドをそれぞれ合成する事により、DNA結合部位のアミノ酸配列は同一で包接化合物形成能、即ち二量化能の異なるDNA結合ペプチド単量体を得ることができた。DNA認識モチーフペプチドとしてはロイシンジッパータンパク質GCN4のDNA結合部位に由来する23アミノ酸からなるオリゴペプチドを固相法により合成して用いた。ペプチドのβ-シクロデキストリンによる修飾はペプチド中のシステイン残基と6-ヨード-β-シクロデキストリンとの選択的な反応により行った。また、システイン残基とヨードアセチル化したゲスト分子を反応させることにより、ゲスト分子を有するDNA結合ペプチド単量体を得ることができた。得られたオリゴペプチドとDNAの塩基配列特異的な結合は放射性同位元素で標識した短鎖オリゴヌクレオチドを用いてゲルシフトアッセイやフットプリンティングを行う事により評価したところ、天然のロイシンジッパータンパク質が認識するDNA塩基配列に協同的に二量体を形成しながら結合することがわかった。これにより、同種のペプチドをホスト分子及びゲスト分子で修飾して用いた場合には回文配列DNAが選択的に認識できることがわかった。また、二種類のペプチドをそれぞれホスト分子およびゲスト分子で修飾した場合には、非回文配列DNAを選択的に認識できることがわかった。また、これらの非共有結合で二量化するペプチドは特定のDNA塩基配列に結合したときにのみ、αヘリックスを形成していることがわかった。
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