研究概要 |
研究実績の概要は下に示した3つの内容に分けられる。 1)希土類元素を含む硝酸塩、リン酸塩ガラスを調製し熱分析し系列内での変化を調べたところ硝酸塩ガラスの場合、結晶化温度と液化温度の間には興味ある関係が存在することが明らかとなった。また、リン酸塩ガラスの場合には、ガラス転移温度(Tg)の値はLaからLuにかけて次第に高くなり水溶液系ガラスで見られるような変化が認められ、水溶液系と同様に系列内で配位数の変化が起こることが明らかになった。 2)EuCl_3とGdCl_3の水溶液(R=25)にHCl,LiClおよびCsClを別々に加えた溶液のラマンスペクトルを測定し、内部水和数の変化の異常濃度依存性について検討した。その結果、溶液中の水の量が少なくなるにつれて水和希土イオンの内、8配位より9配位の方が数が多くなるという一見異常な現象が認められた。これは、外圏錯体の生成によって異常濃度依存性が生じるという考え方で説明できるものと思われる。 3)Lu-PMBP錯体を合成しIRスオエクトルを測定した。120-630cm^<-1>の領域では、配位子と金属の結合によるピークが410および340cm^<-1>付近に認められた。そこでピーク位置の系列内での変化についてプロットしたところLaからLuにかけて次第に高波数側にシフトしているが、Tbのところで大きく変化することが分かった。この変化は、希土類元素のf軌道の電子配置に対応しているように思えるがこれに関しては検討中である。なお、テトラド効果などといわれている不規則な変化は認められなかった。 今後は、希土類元素を含むゲルマニウム酸塩ガラスの系列内でのTg変化をみる。更に、異常濃度依存性が非水溶媒系においても観測されるかどうかについて検討する。
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