研究概要 |
研究目的 本研究では環サイズの異なる二つの環状ポリアミンに異なるドナー原子を有するペンダント基をそれぞれ複数個導入し,より高度な特異的金属イオン配位能を有する配位子とその希土類金属イオンとの錯体を合成した。又,溶液内希土類錯体の構造解析法の確立をめざし各種希土類化合物のX線回折およびXAFS解析を行った。 研究成果 18員環ヘキサアミンにアミノエチルを導入した新規配位子を合成した。この配位子と銅(II)イオンとの錯形成は銅(II)イオンとの配位子の濃度比に依存して二核あるいは三核錯体が生成した。ニッケル(II)および亜鉛(II)イオンとの錯形成では二核錯体のみが生成した。またネオジム(III)イオンとの錯形成が確認された。次に9員環トリアミン配位子に配位性酸素ドナー原子を有するペンダント基を導入した新規配位子を合成した。この配位子と銅(II)錯体およびネオジム(III)錯体を合成した。銅(II)錯体の構造は酸性で銅は配位子のトリアザ環のみで配位されアルカリ性ではトリアザ環の窒素ドナーとペンダントの酸素ドナーにも配位されていた。ネオジムは中性でペンダント基のフェノール酸素によって配位されていると推定される。最後に希土類元素化合物の溶液内構造の解析法を確立するため水溶液中の一連のアミノポリカルボナト希土類錯体のEXAFSスペクトル解析した。即ち3座配位のNTAから6座配位のEDTA錯体では全配位数は軽希土類イオンから重希土類イオンになるにつれて9から8へと変化していた。しかしDTPAとTTHAの錯体では配位数はほほ一定の値の8であった。これらの錯体には中心金属イオンへ水分子は配位していないと推定される。
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