研究概要 |
本研究は希土類が均質に置換固溶した水酸アパタイトセラミックスを合成し、その光駆動湿度センサーへの利用を図ることを目的としている。本年度の研究成果を以下に要約する。 1,[P(CH_2OH)_4]Clを原料として高純度な重合化剤トリスドロキシメチルホスフィンの合成に成功した。純度99.5%以上のトリスドロキシメチルホスフィン結晶が合成された。 2,カルシウムと希土類のキレート錯体をトリスドロキシメチルホスフィンで重合させ、それをもとに希土類添加水酸アパタイトセラミックスの合成に成功した。ディップコート法により厚さ1μm程度の平滑な薄膜を生成した。トリスドロキシメチルホスフィンを用いた錯体重合法は本研究が初めて成功したものである。また、従来のゾルゲル法よりもセラミックス中の希土類元素の分布が均一であることがわかった。 3,現有のレーザー光源をもとに、「その場」測定のための専用の光学系を組み立てた。 4,希土類添加水酸アパタイトを各湿度下で「保持後」、FTIRによりその光学的特性を評価した。湿度と希土類イオンの濃度に対応したセンシング特性が得られた。本研究で合成した膜はゾルゲル法による膜に比べて、FT-IRのピークがシャープであり、希土類元素の分布がより均一であることに対応していると考えられる。また希土類は水酸アパタイト中のカルシウムと最大4%まで置換固溶することが明らかになった。
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