研究課題/領域番号 |
06242102
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
甲斐 泰 大阪大学, 工学部, 教授 (40029236)
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研究分担者 |
北浦 和夫 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (30132723)
広津 建 大阪市立大学, 理学部, 教授 (10047269)
奥山 健二 東京農工大学, 工学部, 教授 (30038020)
岩崎 不二子 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (10017329)
大橋 裕二 東京工業大学, 理学部, 教授 (40016118)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1996
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キーワード | 有機結晶 / 固相反応 / 結晶構造 / 相転移 / 迅速X線構造解析 / 時間分割構造解析 / 動的構造 / 結晶工学 |
研究概要 |
有機結晶中で進行する化学反応を解析することを目標として、X線結晶構造解析、熱解析、理論計算、結晶化など、物理化学的な研究手法を用いた構造化学的研究を進めてきた。特に、結晶相の反応過程における動的構造変化を解析することを目的として、時間分割構造解析、特殊条件下構造解析等を行うとともに、反応の解析に適した化学反応系を見いだすことを目指した研究を行ってきた。そのために必要な設備として、特殊条件下迅速X線回折計の開発を進めてきたが、イメージングプレートを二次元検出器とするワイセンベルグ型X線回折装置が完成し、時間分割構造解析を目指した実験が進められている。不安定な結晶や微少結晶などにも適用できる上、二次元回折パターンから有用な情報が得られる場合も多く、さらに温度変化装置などとの併用が非常に容易になったことで、これまでの装置で構造決定できなかった多くの系への適用が期待される。時間分解能を更に上げるため、大橋らは、新しいガス増幅型二次元検出器の開発を進めており、すでに5x5cmの大きさの検出器を作ることに成功している。この検出器を用いると、20ミリ秒で1フレームの回折強度を測定することができ、同時に250フレームのデータを蓄積できるので、時間分解能の飛躍的な向上を期待することができる。結晶相における動的構造解析の具体的成果には、芳香族ジアセチレン化合物の固相重合反応、メトキシカルボニルエチル基をもつコバロキシム錯体の結晶相ラセミ化反応、クマリンと酒石酸誘導体の包接体結晶におけるキラル結晶の固相ラセミ結晶化、N-(2,4-ジニトロフェニル)-o-アニシジンの相転位、ヌクレオチド結晶にみられる結晶水の吸脱着反応とカップルした結晶構造転移、など多くの反応があげられる。さらに、有機結晶構造の計算予測のためにab initioペア近似をポテンシャル関数とした新しい計算手法が開発され、実用計算のための汎用プログラム作成が進んでいる。
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