研究分担者 |
小林 啓二 東京大学, 教養学部, 教授 (50012456)
加藤 礼三 東京大学, 物性研究所, 助教授 (80169531)
小倉 文夫 広島大学, 工学部, 教授 (90028150)
伊与田 正彦 東京都立大学, 理学部, 教授 (50115995)
稲辺 保 北海道大学, 理学部, 教授 (20168412)
|
研究概要 |
本研究は以下の三つに分類でき、各々において、平成6年度に次のような面白い成果を見た。 1.分子性導体成分の設計・合成と電荷移動錯体の作成:1,6-メタノ[10]アヌレンの2-、2,7-、2,10-位やナフタレンの2,8-位にTTF分子を持つ多段階レドックス系、ピレンと等電子構造のナフト[1,8-bc:4,5-b'c']ジチオフェンやナフト[1,8-bc:5,4-b'c']ジチオフェン、ジヒドロピリジン基やチアジアゾール基を含む強いドナー、チオフェン環を縮合させたDCNQI誘導体などを合成した。それらの電荷移動錯体の幾つかは低温まで金属性を示した。 2.分子性導体の構築とその構造・物性研究:遷移金属配位錯体、TTP誘導体、ペルシアノ化合物などを用い、極低温まで金属的な多くの錯体を得、それらの幾つかの構造を決定した。α-(Me_2Et_2N)[Ni(dmit)_2]では低温結晶構造(11K)を決定した。BED0-TTF・デジタルTCNQ錯体を用い、前処理を必要としない世界で最初の金属的LB膜を作成した。4種の10K級κ型BEDT-TTF超電導体の金属領域、超伝導領域さらに疑似半導体的領域の電子状態をESR、加圧下での電気抵抗、磁気測定により詳細に調べた。Cu[N(CN)_2]Cl錯体では、金属相→超伝導相→金属相の変化(超伝導リエントラント現象)を発見した。Cu(DMDCNQI)_2錯体での金属相→絶縁相→金属相リエントラント現象を、多数のDCNQI誘導体(同位体も含め)を用いて、詳細に検討した。C_<60>分子の電子親和力を決定し、多数のTTF類位との錯体を作成した。OMTTF・C_<60>・ベンゼン錯体のアルカリ金属ドープで新しい超伝導体を開発した。電解により金属的錯体Na_x・C_<60>(THF)_xを開発した。 3.分子配向制御による分子性機能膜の作成と物性・構造研究:有機分子のエピタキシャル成長基盤として、Si(111)の表面ダングリングボンドを水素で終端して疑似ファンデアワールス表面化する方法を開発し、V0フタロシアニンのエピタキシャル膜の成長に成功した。RHEEDにより、エピタキシャル膜中の分子が1次元配列をしていることを見いだした。
|