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1994 年度 実績報告書

高分解能光電子分光によるフェルミ面近傍の低次元電子状態の研究

研究課題

研究課題/領域番号 06243205
研究機関東京大学

研究代表者

藤森 淳  東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (10209108)

研究分担者 溝川 貴司  東京大学, 大学院理学系研究科, 助手 (90251397)
キーワード低次元電子系 / ラッティンジャー流体 / 高分解能光電子分光
研究概要

擬1次元結晶構造をもつ有機分子性導体の電子構造,電子相関を明らかにすることを目的として,(DCNQI)_2Cuの温度可変高分解能光電子分光実験をおこなった。(DCNQI)_2Cuは,DCNQI鎖をつなぐCu原子のd軌道の存在のために比較的3次元性が強いと言われている。しかし,光電子スペクトルは,フェルミ端が消失し,いわゆるラッティンジャー流体に特有の強い1次元を示した。ところが,スペクトルを詳細に解析すると,低温ではわずかに弱いフェルミ端が残っていることが示唆され,低エネルギの極限ではフェルミ流体として矛盾しないことが示された。以上の結果から,ある程度(鎖と垂直方向のバンド幅)より低エネルギーかつ低温ではフェルミ流体的に,それよりも高エネルギーまたは高温ではラッティンジャー流体的にふるまうのが,擬1次元強相関金属の特徴であろうと結論した。また,重水素置換した(DCNQI)_2Cuの金属-絶縁体転移にともなうギャップの開閉も,高分解能光電子分光により観測した。絶縁体相のバンド端の形状は2次元電子系的であり,長距離秩序(3倍周期のCDW)の形成には3次元性が必要なことと関連しているものと思われる。
同じく1次元的結晶構造を持つ無機化合物BaVS_3の光電子スペクトルも測定し、(DCNQI)_2Cuの結果と比較した。両者に共通の結果のひとつとして,ラッティンジャー流体を特徴づけるべく指数が大きい(〜1)ことが挙げられる。これは短距離力のみを考えたハバ-ド・モデルでは説明できず,長距離クーロン相互作用が重要であることを示している。もうひとつの共通の特徴は,べき指数が温度の上昇とともに低下することである。これを,熱的じょう乱による長距離相関の低下と解決した。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] M.Nakamura: "Metal-Semicowductor Transitiow and Luttinger-Luguid Behavior in Quasi-One-Dimensional BaVS_3 Studied by Photoemission Spectroscopy" Phys.Rev.B. 49. 16191-16201 (1994)

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公開日: 1996-04-08   更新日: 2016-04-21  

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