研究概要 |
本年度は希土類金属間化合物NdCu_2の良質単結晶におけるゼロ磁場及び磁場中比熱の測定から磁気相の特性を研究し又磁場下における磁気相図の決定を行った。NdCu_2はヘビーフェルミオン化合物のCeCu_2と同型の結晶構造を持ちネ-ル温度、T_N=6.5Kの反強化合物である。我々はこの化合物の単結晶の比熱を温度範囲、0.7K〜70K、磁場範囲、0〜6T,において測定した。 ゼロ磁場特性 (1)6.5,4.22,3.97Kに比熱ピーク観測した。これらを既に報告されている結果と比較すると、T_N=6.5K及びT_<R2>=4.22Kピークは一致するが、T_<R1>=3.97Kのピークは未発見のものである事がわかった。 (2)比熱は温度T_<R2>とT_Nの間でC=_<γm>T+_<βm>T^3で表される。第一項のγmは370mJ/molK^2と大きく、伝導電子系と反強磁性マグノン系との強い混成が予想される。 (3)電子比熱係数はT_<R1>以下で比熱の温度変化は、C=_γT+βexp(-δ/k_BT)+A/T^2、の関数に一致する。 第二項はマグノンバンドにギャップ(δ=11.8K)が発生したことを表している。第一項のγは20mJ/molK^2とRCu_2系における電子比熱係数と同じ程度の大きさでありNdCu_2のT_N以上での常磁性状態における電子比熱系数とほぼ一致する。 磁場中特性 (1)結晶のb-軸方向の磁場中磁気相は比熱のピークから明確に区別される相だけでも8相以上あることを発見した。
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