研究課題/領域番号 |
06244106
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
藤井 博信 広島大学, 総合科学部, 教授 (30034573)
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研究分担者 |
鈴木 謙爾 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (10005861)
前沢 邦彦 富山県立大学, 工学部, 教授 (90099408)
小松原 武美 東北大学, 極低温科学センター, 教授 (80004331)
石川 征靖 東京大学, 物性研究所, 教授 (70159705)
佐藤 英行 東京都立大学, 理学部, 教授 (80106608)
SHIGA Masayuki Kyouto University, Grade School of Engineering, Professor (30026025)
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研究期間 (年度) |
1994 – 1997
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キーワード | 強相関電子系 / 物質開発 / 結晶育成 / 異方的超伝導 / 重い電子系 / メタ磁性 / 半導体 / 少数キャリアー系 / Metallic state |
研究概要 |
本重点領域研究「強相関伝導系の物理」がスタートして早くも四年が経過し終了時期となった。この間、結晶育成班は重い電子系の示す特異物性(異方的非BCS超伝導Upt_3,UPd_2Al_3,メタ磁性転移物質CeRu_2Si_2、近藤半導体CeNiSn)に焦点を当て、純良単結晶を育成しそれらが示す特異物性の発現機構を追求する研究を精力的に推進してきた。試料の純良化が進むにつれて、出現する特異性は際だったものとなり、その理解度は飛躍的に前進した。中でも、UPt_3が奇バリティのp-波超伝導であること(大阪大理)が物性評価班との組織的な共同研究によって明らかにされ、これまで世界に遅れをとっていた研究領域を払拭した感がある。さらに非磁性CeRu_2Si_2の示すメタ磁性転移は、f電子が遍歴する重い電子状態からf電子が局在する状態への状態変化に起源していることが明らかにされた。また、典型的な近藤半導体CeNiSn,YbB_<12>の単結晶(広大理)が育成され、近藤半導体は伝導電子とf電子の混成による異方的エネルギーギャップ形成に起源するもので、その理解度も飛躍的に向上した。以上のように、本重点領域研究において、極めて質の高い純良単結晶育成技術が確立できたことは、物性評価技術の向上とともに特筆に値する。 一方、新物質探索に関しては、重い電子系の示す異方的非BCS超伝導の発見には至っていないが、興味深い様々な新物質が開発されてきた。主な成果は、高圧下で出現するノン・フェルミ液体Ce_7Ni_3(広大理)、近藤半導体CeRhAs,Ce_3Sb_4Pt_3(東北大理)、低次元相関物質CePdAs,CePdSbやCeMg_2Ni_9,PrMg_2Ni_9(広大総合科、東北大)、四重極秩序物質Ce_3Pd_<20>Ge_6(東大物性研)、UNiSn(広大理)、異方的超伝導CeCo_2(都立大理)、Ybを含む重い電子系物質YbCu_5(京大工)、圧力誘起強磁性TmTe(東北大理)などが挙げられる。これらは、さらに純良単結晶化によって本質的な理解に近づける努力が必要である。このように、新物質を目指した物質開発研究によって、本重点領域研究はさらにその裾野を拡げる事ができたと総括できる。
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