研究概要 |
UPt_3の超伝導の対関数についてはギンツブルグ-ランダウの自由エネルギー汎関数を用い群論的解析がなされてきた。反強磁性との共存、超伝導二重転移の存在により超伝導の対関数は一次元表現ではないことがあきらかになった。ここでは結晶構造(P6_3/mmc)とU原子のf軌道のj=5/2の原子軌道がフェルミ面上のブロッホ軌道に参加していることを考慮する。これらのj=5/2の原子軌道のオンサイト引力、最近接の引力の場合にどの様な既約表現の超伝導対関数が生じ得るかを明らかにし、対関数のk表示での具体的な表式を求めた。各サイトでのf電子の生成演算子をa^†_<1nM>,a^†_<2nM>とする。ここでnはユニットセルを表わし、下つきの1、2はユニットセル内のU原子をしめす。M=-5/2,-3/2,……3/2,5/2である。次のフーリエ変換を定義する。 a^†_<1kM>=(1/√<N>)Σ_ke^<ik(n+τ)>a^†_<1nM>,a^†_<2kM>=(1/√<N>)Σ_ke^<ik(n-τ)>a^†_<2nM> τ=(2/3)(t_1+t_2)-(1/4)t_3,(t_1,t_2,t_3)は格子の基本ベクトルである。 K_<1±>(k)=a^†_<1kM>a^†_<1-kM'>±a^†_<2-kM>a^†_<2kM'>, ,K_<2±>(k)=a^†_<2-k-M>a^†_<2k-M'>,±a^†_<1k-M>a^†_<1-k-M'>, J_z=M+M'とする。(1)オンサイト引力の場合はペアリングハミルトニアンはK_<(K)1±>,K_<2±>(k)のkに依らない係数をもつ線形結合で表わされ、次の様な結果が得られた。1)J_z=5の時、対関数は存在しない。2)J_z=0,3の時、2次元表現に属する対関数は存在しない。3)J_z=1,2,4の時、2次元表面の対関数が2個ずつ生じる。(2)最近接引力の場合全てのJ_zの値に大して2次元表現の対関数が2種類ずつ存在する事が解った。
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