研究概要 |
光磁気(Raab)トラップの磁場配置および,冷却ビームの偏光を変更することで,vortexトラップを実現した.このvortexトラップにより,冷却原子を70%程度スピン偏極させることができた.偏極度はプローブ光を用いて,円偏光2色性に求めた.また,トラップされた原子数,温度はそれぞれ,10^6,10mK程度であった.偏極された原子材料は,高感度の磁場測定や,微弱な相互作用の検出に利用できる.また,偏極度,到達温度,原子数をさらに改善する実験を行っている. スピン偏極された冷却原子の応用として,光子数の量子非破壊測定を試みた.スピン偏極された原子を非共鳴的円偏光と相互作用させると,仮想遷移による準位のずれを生じ,その結果スピンが回転する.スピンの回転角は一般に微小であるが,多数のスピンを順次,光と相互作用させ,平均をとることで,光強度,すなわち光子数に比例する回転角を測定することが可能である.このような操作中,光子数が保存されることがわかっており,量子非破壊測定が実現できるものと期待される.本研究では,量子非破壊測定の前段階として,室温の原子を用いた測定を行った.その結果,比較的強度の大きい光を非吸収的に測定することに成功した.今後は,冷却原子を用いて感度の向上をはかる予定である. 関連する研究として、原子波がGalilei変換にともなって示す特異な振る舞い(Landeのパラドックス)についても研究を行った.この効果は冷却された原子波を用いたジャイロスコープの原理に理解に役立つことが判明した.
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