研究概要 |
天然ガスあるいは将来的には石炭ガス化ガスを燃料とする新しい概念に基づいたケミカルガスタービンシステムを提案している。そこで、本研究では、燃料として水素をこのケミカルガスタービンに適用することを考え、そのシステム構成について検討するとともに、燃焼器、耐熱材料の要素技術についてそれぞれ検討した。 燃料過濃燃焼によって作られる高温還元雰囲気中におけるC/Cコンポジットの劣化特性と劣化の抑制効果に関して実験的検討をした。そこで、燃料過濃なメタン/空気予混合燃焼を行い、その燃焼場中におけるC/Cコンポジットの重量変化の測定および、SEMによる表面観察を行い、その劣化特性についての基礎的検討を行った。実験は、メタン/空気予混合燃焼によって作られる高温還元性雰囲気中にC/Cコンポジットを設置し、所定の時間経過後、試料重量変化の測定およびSEMによる試料表面の状態の観察を行った。 高温還元雰囲気における、C/Cコンポジットおよび黒鉛の単位表面積・単位時間あたりの重量減少に対する温度の影響について検討した結果、C/Cコンポジット,黒鉛ともに温度の上昇に伴いその劣化速度は増加していることがわかった。1330K以下では、C/Cコンポジット,黒鉛の両者共に当量比が大きいほど劣化速度が小さくなることがわかった。 一方、高圧過濃燃焼器の開発のための基礎として、石英製常圧同軸流拡散燃焼の基礎特性について実験的に検討した。燃焼ガス温度は、径0.1mmのRタイプの熱電対を燃焼器上部から挿入し測定した。また、燃焼ガスは燃焼器上部から石英製水冷プローブ(外径10mm)を挿入し吸引サンプリングした後、TCDガスクロマトグラフグラフおよびNOxメーターで、ガス組成を分析した。また、紫外光対応のイメージインテンシファイヤー付き高速度ビデオ(Kodak,model UVX,感度波長域160〜740nm(対ピーク感度10%))を用いて、燃焼中の火炎形状を直接観察した。過濃燃焼中におけるガス温度分布およびNOx分布の測定結果、温度分布より等量比を変化させると、過濃燃焼特有の上開き火炎を徐々にはっきりと形成するようになることがわかった。また、NOx分布分布の傾向は温度分布と良く対応していた。当量比1.2の場合、軸を中心としてNOxが多く生成しているのに対し、当量比が大きくなるに従い半径方向にほぼ均一に生成することがわかった。高速度ビデオを用いて過濃燃焼火炎中のOHラジカル挙動(観察波長域306.4±10nm)を観察した結果、当量比が増大するにつれて、軸方向に対する火炎縁の傾きが大きくなることがわかった。
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