燃料電池は燃料の持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換できる装置である。一方、CH_4の酸素改質反応(CH_4+1/2O_2→CO+2H_2)は、わずかな発熱反応であり、メタノール合成にそのまま使用できる合成ガスを得ながら、発熱を得ることのできる反応である。本研究は燃料電池を一つの反応器として用い、酸素を電解質を経由して供給させることで、CH_4酸素改質反応を進行させ、メタノール合成にそのまま使用できるCO/H_2=1/2の合成ガス(化学エネルギー)、電気エネルギーとともに反応にともない発生する熱エネルギーを同時に得る、新しく、高効率なエネルギー併産システムを開発し、評価することを目的とした。 本年度は種々の電解質を用いて電池を組み立て、反応が理論通りに進行できるか評価するとともに、より多くの電力を取り出す方法を検討した。種々の酸化物イオン伝導体を用いて燃料電池型反応器を組み立て、化学量論量のCH_4/O_2=2のガスを供給したところ、いずれの電解質を用いたセルでも、CH_4の酸素改質反応は進行し、COとH_2からなる合成ガスと電力及び熱エネルギーが得られることがわかった。一方、得られる電力は電解質に用いた酸化物の酸素イオン伝導性に強く依存しており、高い酸素イオン伝導性を有するLaGaO_3系ペロブスカイトを用いると、大きな電力とほぼ理論起電力が得られることがわかった。ところで、CH_4/O_2=2の組成のガスを送入すると、生成したH_2又はCOはH_2O又はCO_2への酸化反応が進行するので、合成ガスの収率は低下する。そこで、大きな電力と高い合成ガスの収率を得るには送入するガス組成をわずかに酸素欠陥にする方が良いと考えられる。そこで、送入するガス組成が合成ガス及び電気エネルギーに及ぼす影響を検討し、CH_4/O_2=4程度のガスを送入するとき、最も大きなCO及びH_2収率と比較的大きな電力が得られることがわかった。また、この条件では電流を取り出す程、酸素が電解質を経由して供給されるので、高い合成ガス収率及び大きな熱エネルギーが得られることがわかった。
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