研究課題/領域番号 |
06254206
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
林 基治 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (10027500)
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研究分担者 |
山下 晶子 日本大学, 医学部, 助手 (30246889)
清水 慶子 京都大学, 霊長類研究所, 教務職員 (90135616)
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キーワード | 脳老化 / サル中枢神経系 / 神経栄養因子 / 遺伝子発現 |
研究概要 |
1)ソマトスタチンは、アルツハイマー病疾患の中枢神経系で減少し、脳老化と深く関連している神経ペプチドである。また近年、神経栄養因子としての役割が指摘されている。脳老化とソマトスタチンの遺伝子発現の関連を明確にする為に、ニホンザルの中枢神経系におけるソマトスタチンの遺伝子発現の加齢に伴う変遷を調べた。その結果、ソマトスタチンは大脳皮質、海馬、尾状核、脊髄において0.65kbの位置にmRNAが検出されたが、小脳には遺伝子は発現していなかった。ついで2歳、10歳、30歳以上のニホンザルについて、ソマトスタチンmRNA量の変遷を大脳皮質各領野と海馬で定量した。その結果、前頭前野、側頭野、視覚野及び海馬におけるmRNA量は、2歳を100%とすると、10歳で60-70%、30歳以上で20%と顕著に減少し、ソマトスタチンの遺伝子発現の変遷と脳老化は関連があることが示唆された。 2)ニホンザル小脳のプルキンエ細胞において、ソマトスタチンとGABAの加齢に伴う変遷過程を調べた。その結果、胎児期140日ではプルキンエ細胞のほとんどがソマトスタチンを含有していたが、発達とともにGABAを含有するように分化した。一方30歳を越えると、プルキンエ細胞のGABA量は顕著に減少し、脳老化に伴うサルの運動機能の低下とGABA量の低下が関連を持つことが予想された。
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