研究課題/領域番号 |
06254213
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
辻 崇一 理化学研究所, フロンティア研究システム, チームリーダー (90124677)
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研究分担者 |
濱本 敏郎 理化学研究所, フロンティア研究システム, 研究員 (30189625)
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キーワード | ガングリオシド / シアル酸転移酵素 / GD3合成酵素 / Neuro2a / 神経芽腫瘍細胞 / 神経分化誘導遺伝子 |
研究概要 |
GD3合成酵素のcDNAをb-及びc-系列のガングリオシドを発現してないNeuro2a細胞に導入し、GD3合成酵素を強制発現させることにより細胞に引き起こされる現象を調べることにより、ガングリオシドの持つ神経栄養因子様作用を解析することを目的とした。 1)GD3合成酵素のcDNAを導入した細胞(N2a-GD3)はコロニーの周囲に多数の神経突起が伸展しているのが認められたが、ベクターのみを導入した細胞(N2a-brs)ではそのような伸展は見られなかった。自発的な神経突起の伸展は、クローン化した細胞でも観察された。 2)抗GD3モノクローナル抗体を用いてGD3の発現を調べたところ、親株。N2a-brsではGD3が殆ど発現していないにも拘わらず、N2a-GD3のみがGD3を発現していた。さらに、b-系列ガングリオシドのひとつで元来ほとんど発現していないGQ1bの発現もN2a-GD3では認められた。 3)N2a-GD3の細胞増殖とチミヂンの取り込みは、N2a-brs及び親株に比べて著しく減少していた。 4)N2a-GD3はアセチルコリンエステラーゼの染色で多くの細胞が染色されたが、N2a-brs及び親株にはそのような細胞は見られなかった。 以上の結果から、GD3合成酵素cDNAの導入により、Neuro2a細胞のガングリオシドのde novoの合成とその発現が変化し、b-系列ガングリオシドを合成・発現するようになった。さらに、増殖が抑制され、コリン作動性神経様に分化し神経突起を伸展させたと考えられる。 以上の結果は、GD3合成酵素遺伝子が神経分化誘導遺伝子の一つであり、新たに発現されたガングリオシド分子(のなかのどれか)が神経分化誘導因子であると考えられる。
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