研究課題/領域番号 |
06254214
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研究機関 | (財)東京都精神医学総合研究所 |
研究代表者 |
上田 健治 (財)東京都精神医学総合研究所, 分子生物学研究部門, 主任研究員 (90261180)
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研究分担者 |
山本 明広 (財)東京都精神医学総合研究所, 分子生物学研究部門, 技術員(助手)
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キーワード | NAC / NACP / アルツハイマー / アミロイド / 遺伝子座 / FISH / RFLP |
研究概要 |
筆者等は精製アルツハイマー病(AD)脳アミロイドから、未知の成分NAC(Non-AβComponent)を見出し、その前駆体蛋白質(NACP)のcDNAをクローニングした。精製アミロイドからペプチドが分離され、その局在が電顕レベルでアミロイド繊維状に同定されたのはAβに次いでNACが2番目である。本研究はADの分子病態生理におけるNAC/NACPの役割を解明することを最終目的とし、先ずNACPの遺伝子座を決定することを試みた。方法的には先ずPCR法、Southernハイブリダイゼーション法を用いて、ヒトと齧菌類の体細胞雑種由来DNAを解析したところ、共にヒト4番染色体を含む雑種細胞にシグナルが検出された。しかし他の細胞からも弱いシグナルがみられたために、FISH法により染色体部位の同定を行ったところ、NACP遺伝子座は4q21.3-q22の位置にあることが判明し当初の目的は完遂された。又、RFLP解析からNACP遺伝子には少なくとも2つの遺伝子多型が存在する事実が明らかになり、これを仮にA型、B型とすると、AD患者ではA型が減少する傾向が見出された。しかし例数が少ない故もあり統計的には有意とはならなかったが、今後RFLPを用いてNACP遺伝子を解析する方向性が打ち出された。 一方、cDNAクローニングから新たに短鎖型のNACP112cDNAが得られ、これはmRNAの選択的スプライシングによるイゾ型産物であると考えられた。PCRとNorthern解析により、先の長鎖型NAC140とNACP112は年齢と組織依存的に発現が制御されていることが示された。又、相同検索の結果、今回同定されたインサートの部位と、T細胞抗原受容体のCD3ζ鎖の細胞内ドメインとに相同性が見出され、NACPが細胞内シグナル伝達機構に関わる可能性が示され、NACPの生理機能の一端が示唆された。
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