HLA-B^*3501分子によって提示されるHIV-1細胞障害性T細胞障害性T細胞(CTL)エピトープの同定を、リバース・イムノジェネティックス法を用いておこなった。HLA-B^*3501結合自己抗原ペプチドのシークエンス解析より得られた結合ペプチドのモチーフ上のアンカー部位のアミノ酸をもった8-merから11-merのペプチドを、HIV-1SF2株より選び出し、64種類のペプチドを合成した。このペプチドとHLA-B^*3501抗原との結合を調べたところ、27種類のペプチドが結合した。さらにこの27種類の結合ペプチドを使って、HIV-1患者末梢血リンパ球を刺激したところ、11種類のペプチドがHLA-B35拘束性、特異的CTLを誘導できた。これらのCTLのうち10種類のペプチドが、ウイルスを感染させたHLA-B35発現細胞を障害したことにより、これらのペプチドがHLA-B35によって提示されるCTLエピトープであることが明らかになった。これらのエピトープによって誘導された特異的CTLが他のHIV-1株に見られた変異エピトープを認識できるかを調べたところ、23種類の北米型のHIV1-変異エピトープ中20種類の変異エピトープを認識できた。以上のことから、これらのエピトープペプチドはワクチンの候補になりうると考えられた。今後、これらのエピトープによって誘導されたCTLが、タイ型などのHIV-1変異エピトープを認識するかを明らかにするとともに、CTLクローンを作製してCTLのHIV-1エピトープの認識について解析する予定である。
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